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【白毛馬 5選】日本競馬史に名を残す、白きサラブレッドたちの軌跡。時代を彩った“白の開拓者”たち

text by 中西友馬

1979年に、ハクタイユーが日本で初めて白毛のサラブレッドとして認められてからもうすぐ50年。突然変異と遺伝を合わせて、これまで50頭以上の白毛馬が誕生している。今回はそんな白毛馬の歴史の中から、記録にも記憶にも残る5頭をピックアップ。1頭ずつ順に紹介していく。

WhiteVessel
白毛馬としてJRA初勝利を挙げたホワイトベッセル

①ホワイトベッセル

 白毛馬の歴史を振り返る上で、触れないわけにはいかないのが、最初に取り上げるホワイトベッセル。父は芦毛のクロフネ、母は白毛のシラユキヒメという血統の白毛馬である。

 サンデーサイレンス産駒の母シラユキヒメは、父が青鹿毛、母が鹿毛で白毛の遺伝子ではないながらも、突然変異で白毛として誕生。体質面の弱さからデビューが5歳までズレ込んだが、5戦目の4歳以上500万下(現1勝クラス)で3着となり、JRA史上初めて馬券圏内となった白毛馬である。

 そしてホワイトベッセルは、シラユキヒメの2番仔で、2004年生まれ。世代としては、ウオッカやダイワスカーレットと同じ世代。兄のシロクンに次いで母の白毛を受け継ぎ、日本では11頭目の白毛馬であった。母や兄と同じく、体質的な弱さのあったホワイトベッセルは、明け3歳となってからデビュー。しかし、苦戦が続いた過去10頭の白毛馬と違い、デビュー戦から3着に好走。白毛馬が馬券圏内に入るのは、母シラユキヒメに次いで史上2回目、デビュー戦で馬券圏内となるのは白毛馬史上初であった。

 そして迎えた、2007年4月1日。デビュー2戦目で初ダートとなる一戦に挑んだホワイトベッセルは、道中好位馬群を追走し、直線では逃げる2着馬を鮮やかに差し切って勝利。未勝利戦ながら、鞍上の川田騎手はガッツポーズでゴールに入線した。

 この勝利は、記念すべき白毛馬のJRA初勝利となり、白毛馬の歴史に新たな1ページを刻んだ。ホワイトベッセルはその後、さらにダートで2勝を挙げ、通算17戦3勝で現役生活を引退。現役引退後は、京都競馬場で誘導馬を務めた。

 今でこそ重賞勝利やG1勝利も収めている白毛馬だが、その歴史はホワイトベッセルの1勝、いやもっと言えば、その母シラユキヒメが金子真人オーナーの手に渡ったところから始まったと言っても、過言ではないだろう。

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