HOME » コラム » 5選 » クロフネ産駒の最高傑作は? ソダシやカレンチャンを輩出した“芝砂両用の怪物”の子どもたち5選 » ページ 5
sodashi
ソダシ

⑤ソダシ

 数々の活躍馬を輩出してきたクロフネであったが、22歳を迎えた2020年夏、種牡馬引退を発表。その発表とほぼ同じタイミングにデビュー戦を迎えたのが、クロフネの代表産駒と言っても過言ではない、純白の女王ソダシであった。
これまで紹介した4頭は父クロフネと同じ芦毛の馬たちであったが、ソダシは母ブチコと同じ白毛の馬体。

 当初はこれまでの白毛馬同様にアイドルホースとして人気を集める存在になるかと思われたが、なんと新馬戦から連戦連勝。デビューから無傷の4連勝で阪神JFを制覇したのである。この時点で芝の重賞勝利やG1勝利など、白毛馬として初の快挙を次々達成。前哨戦を使わずぶっつけで挑んだ桜花賞も制して、こちらも白毛馬として牝馬クラシック初勝利。しかしこの頃には白毛馬としてではなく、1頭の競走馬として歴代の名馬たちと比較されるようになっていた。

 オークスで8着に敗れてデビューからの連勝は5でストップしたが、札幌記念では海外G1制覇を果たしたラヴズオンリーユーを撃破。古馬となってからも、ダートG1フェブラリーSで3着に好走。さらには4歳時のヴィクトリアマイルでG1・3勝目を飾るなど、白毛馬の枠を超えて、この時代の牝馬マイル〜中距離路線を引っ張る存在として活躍を見せた。

 5歳時の安田記念を最後に、現役引退を発表。現役引退のタイミングとしては脚部不安もあったが、全妹のママコチャがスプリンターズSで G1初制覇を飾ったことも後押しになったと言われている。現役引退後は、繁殖牝馬として第2の馬生をスタート。初年度はイクイノックスとの種付けが行われた。そして今年の1月に、両親合わせてG1・9勝となる初仔の牝馬を出産。ちなみに、気になる毛色は黒鹿毛とのことで、今後は母と同じ白毛の産駒が誕生するのかにも注目が集まっている。

 今回紹介した5頭や文中に登場した馬たち以外にも、スリープレスナイトやホワイトフーガ、クラリティスカイなど、G1級勝ち馬を多数輩出しているクロフネ。ソダシの全妹であるママコチャを含む現6歳世代がラストクロップとなっているが、初年度産駒がデビューした2005年から2023年まで、19年連続のJRA重賞制覇を達成。これはパーソロンと並んで歴代1位の大記録である。活躍馬に牝馬が多いこともあって、近年は母父としての存在感を増してきており、今後もクロフネが競馬界に与える影響力は計り知れない。

【了】

(文●中西友馬

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