HOME » コラム » 5選 » クロフネ産駒の最高傑作は? ソダシやカレンチャンを輩出した“芝砂両用の怪物”の子どもたち5選 » ページ 4
Aerolithe
アエロリット

④ウアエロリット

 アップトゥデイトがJ・G1制覇を果たした翌年となる、2016年。この年にデビューを果たしたのが、2014年生まれでクロフネ第12世代となるアエロリットであった。芝1400mの新馬戦でデビューすると、好位から抜け出して快勝。しかしその後は、サフラン賞、年が明けたフェアリーS、クイーンCと3戦連続で2着となかなか勝ち切れず。それでも地道に賞金を加算したことで、桜花賞へと出走することが叶った。

 その桜花賞で鞍上の横山典騎手は、後方からの競馬を選択。これまでの好位からの競馬とはまったく違う形となったが、上がり2位タイの脚を使っての5着。結果は5着でも、横山典騎手がアエロリットの新たな一面を引き出したように感じた。

 そして迎えたNHKマイルC。この年は3歳牡馬のマイル路線に抜けた馬がいなかったこともあり、牝馬が上位人気に推されていた。アエロリットも2番人気と高い評価を受けると、その期待に応えて快勝。好位抜け出しという、この馬本来の形での勝利は、自身のG1初制覇だけでなく、管理する菊沢師にとってもG1初勝利、また父クロフネとのNHKマイルC父仔制覇となる勝利でもあった。アエロリットのG1勝利はこの1勝のみであるが、古馬になってからもマイル〜中距離路線で大活躍。

 4歳時の安田記念では、のちに芝・ダート両G1制覇を果たすモズアスコットにクビ差の2着。5歳時の安田記念では、断然人気アーモンドアイの追撃はハナ差しのぐも、のちに春秋マイルG1制覇を果たすインディチャンプにまたもクビ差屈しての2着。そして5歳時の天皇賞(秋)では、早めに内からアーモンドアイに交わされながらも驚異の粘り腰を見せての3着と、本当に強いメンバー相手に好走を繰り返した。

 5歳の有馬記念を最後に現役を引退し、繁殖牝馬としての生活をスタート。初仔のコンドライトは未勝利で引退となったが、2番仔となるシルバーステート産駒の牡馬も、母や兄と同じく菊沢厩舎に預託予定。順調ならば今年の夏以降にデビューを控えている。

 聞いた話によると、アエロリットは3歳時のクイーンSで札幌に滞在していた際、ダートコースでの調教で驚くほど動いていたとのこと。現役時代にダートを走る機会は訪れなかったが、父クロフネ同様に、かなりのダート適性を持ち合わせていた可能性も考えられる。そのため個人的には、母としてダートの大物輩出を密かに期待している。

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