HOME » コラム » 5選 » クロフネ産駒の最高傑作は? ソダシやカレンチャンを輩出した“芝砂両用の怪物”の子どもたち5選 » ページ 3
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アップトゥデイト

③アップトゥデイト

 前述したように、クロフネ産駒の活躍馬は圧倒的に牝馬が多い。実際、現時点でのクロフネ産駒の獲得賞金ランキングトップ5を見てみると、5頭のうち4頭を牝馬が占めている。そんな中、牡馬で唯一ランクインしているのが、2010年生まれでクロフネ第8世代となるアップトゥデイトである。

 アップトゥデイトは、ダート1400mでデビュー。のちのダートG1馬クリソライトを2着に下し、新馬勝ちを果たす。続く初芝の中京2歳Sでは7着に敗れるも、ダートに戻ったヤマボウシ賞で2勝目をゲット。その後も、兵庫ジュニアグランプリで2着、全日本2歳優駿で3着と、ダートでは世代トップクラスの力を示していた。

 しかし、年が明けて3歳シーズンを迎えると状況は一変。春はOPクラスで大敗を続け、古馬との戦いとなった夏以降も馬券圏内に入ることはなかった。兵庫ジュニアグランプリ2着で賞金を加算していたことにより、1600万下(現3勝クラス)からのスタートとなったことも、この馬にとっては復調のキッカケを掴めなかった一因であったかもしれない。

 4歳夏には1000万下(現2勝クラス)への降級、さらには約2年ぶりの芝を試すも結果は出ず、陣営は障害レースへの転向を決断することになる。すると、初障害でいきなり2着に好走。2戦目では2着馬を2秒5引き離す大差勝ちで、約2年ぶりの勝利を挙げる。OPクラスに上がっても好走を続け、迎えた5歳春の中山GJ。初の大障害コースにも関わらずレース途中から先頭を奪うと、そのまま後続を引き離しての大差勝ち。重賞初制覇をJ・G1の大舞台で飾るとともに、鞍上の林騎手、父クロフネにとっても初のJ・G1勝利となった。さらには年末の中山大障害も制して、2015年のJ・G1完全制覇を達成した。

 今後の障害界を背負って立つ存在になるかと思われたアップトゥデイトだが、その翌年からはオジュウチョウサンの全盛期と丸かぶり。J・G1では常にオジュウチョウサンが立ちはだかり、さらなるJ・G1タイトル獲得はならなかった。しかし、8歳まで息の長い活躍を見せ、なにより騎手生活晩年だった大ベテランの林騎手にJ・G1初制覇をプレゼントした功績は、非常に大きなものであった。

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