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坂井×矢作×前走位置取りをチェック

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特注⑤坂井騎手×矢作 前走5~9着・前走位置取り別成績※2020~2025年2月末

 

 一方で、前走2着惜敗もきっちり勝たせる。これも坂井騎手への信頼感をつくる大きな要因だろう。惜敗馬で惜敗しては上へ進めない。ただ勝つことでしか前へ進めない競馬において、惜敗馬を着実に勝たせることは非常に重要だ。前走2着に関してはダートの数字がいい。芝が決して劣るわけではないが、ダートはそれを上回り、エクセレントな結果に。馬券圏内率は5割を超えており、信頼できる。

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特注⑥坂井騎手×矢作 前走5~9着・前走位置取り別成績※2020~2025年2月末

 

 では前走5~9着はどこで狙いを定めるのか。前走位置取りに注目すると、逃げ先行の坂井騎手とはいえ、前走逃げた馬での一変は勝利までは届かない。注目すべきは前走後方が勝率最上位であり、単複回収値も255、122と高い。なんらかの事情で後方から競馬を進めたケースもあれば、上記のようにペースについていけなかった馬を距離延長で一変させる例もここに含まれる。このデータに距離延長をかけると、4-1-2-9勝率25.0%、3着内率43.8%、単複回収値は457、172に達する。必ずしもよく見かけるシチュエーションではないが、チェックを怠らず、発見したらきっちり仕留めたいところだ。

 ここまで矢作厩舎に焦点をあて、坂井騎手について分析した。師弟関係なんて書くと、前時代的だが、矢作調教師との関係は懐かしいだけでなく、新鮮な雰囲気を感じる。二人の間には今時の風が吹いており、上下の関係はときに左右になり、立体的にみえるからだ。厳しくもあり、優しくもある。愛情と信頼を伝える。言葉の力が矢作調教師のすばらしさ。ともに大井にルーツを持つ二人の物語をいつまでもみていたい。

 3月8日阪神で負傷乗り替わりとなってしまったが、幸い大きなケガではなかった様子でなにより。フォーエバーヤングでの夢の続きはもちろん、この春、いやその先も日本競馬に欠かせない騎手になった。持ち前の探求心で日本の競馬を世界にアピールし続けてほしい。

【了】

(文●勝木淳

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