グランアレグリア 〜唯一無二の性能を持つ、次元が違った“短距離女王”〜
グランアレグリア(Gran Alegria)
グランアレグリアは1200mから2000mまで幅広い距離で活躍し、短距離を主軸とする牝馬としては初となる獲得賞金10億円超えの名牝だ。最後方から差し切ったスプリンターズSのような豪快な末脚でファンを魅了した。唯一無二の実力を誇った名牝の軌跡とは。
プロフィール
性別 | 牝馬 | |
父 | ディープインパクト | |
母 | タピッツフライ | |
生年月日 | 2016年1月24日 | |
馬主 | サンデーレーシング | |
調教師 | 藤沢和雄 | |
生産牧場 | ノーザンファーム | |
通算成績 | 15戦9勝【9-2-2-2】 | |
獲得賞金 | 10億7381万円 | |
主な勝ち鞍 |
マイルCS(2020、2021年) 安田記念(2020年) スプリンターズS(2020年) |
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受賞歴 |
最優秀3歳牝馬(2019年) 最優秀短距離馬(2020、2021年) |
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産駒成績 | 産駒デビュー年:2025年(予定) | |
通算重賞勝利数:0勝 | ||
通算G1勝利数:0勝 | ||
代表産駒 | なし |
3階級制覇に挑んだマイル女王
グランアレグリアは、2018年6月に東京競馬場でデビューした。父は言わずとしれたディープインパクト、母はアメリカ芝のG1馬であるタピッツフライという良血馬であった。3番手からレースを進めて直線入り口で持ったまま先頭に立つと、後に阪神JFを勝つダノンファンタジーを寄せつけず快勝。勝ち時計の1分33秒6は前日の新馬戦を2秒3も上回る優秀なものであった。
2戦目のサウジアラビアRCも3馬身半差で快勝すると、3戦目は、主戦のルメール騎手が香港国際競走に騎乗し阪神JFには乗れないため、牡馬混合の朝日杯FSに出走する。牡馬相手でも1番人気に推されたが、背後でぴったりマークしていたアドマイヤマーズに早めに交わされ3着に敗れた。
年が明けて3歳となったグランアレグリアは、桜花賞に直行する。新馬戦2着の後4連勝中のダノンファンタジーが1番人気に推され、グランアレグリアは2番人気であった。しかしレースでは、好位追走から直線入り口で先頭に立つと、追ってきたダノンファンタジーの脚が上がってしまう強いレースで快勝した。
桜花賞を勝ったものの、前進気勢の強い走りから2400mの優駿牝馬(オークス)ではなく、陣営は1600mのNHKマイルCへの出走を決めた。しかし好位追走から伸びを欠き、さらに5位入線のダノンチェイサーの進路を狭くしたと判断されて5着降着(4位入線)となる。勝ったのはアドマイヤマーズで、朝日杯FSのリベンジはならなかった。
夏を経て、スプリンターズSやマイルCSへの出走も検討されていたが状態が整わず、復帰戦は年末の阪神カップとなった。デビュー以来初の1400m戦となったが、目いっぱいに追われることなく5馬身差の圧勝。改めてスピードの絶対値の高さを見せるレースとなった。
年が明けて4歳となったグランアレグリアは、高松宮記念に出走。ドバイ国際競走での騎乗があったルメール騎手に代わり、池添騎手が初騎乗となった。初の1200m戦への出走でいつもより後ろの位置どりとなったグランアレグリアは、直線鋭く伸びて4頭によるゴール前の争いに加わるも、2着(3位入線)となった。
ヴィクトリアマイルを熱発で回避して出走した安田記念でも、ルメール騎手がアーモンドアイに乗るため池添騎手が継続騎乗となった。レースは先に抜け出したグランアレグリアが、追ってきたアーモンドアイを寄せつけず快勝した。
夏を経て、秋はスプリンターズSからの始動となった。主戦のルメール騎手に手綱の戻ったグランアレグリアは、後方2番手から1頭桁違いの脚で差し切ってスプリントG1も制覇。続くマイルCSも勝利して4歳シーズンを終えたグランアレグリアは、明け5歳の大阪杯で2000mに初挑戦する。好位からレースを進めるも、雨で渋った馬場に切れ味を削がれ、伸び切れず4着に敗れた。
マイル戦に戻してヴィクトリアマイルを4馬身差で圧勝したグランアレグリアは、連覇を目指して安田記念に出走する。後方から直線は馬群を縫って伸びてくるも、外をスムーズに伸びたダノンキングリーをアタマ差捉えきれず、2着となった。
秋は天皇賞(秋)で再び2000mに挑戦。前年の牡馬3冠馬コントレイル、同年の皐月賞馬でダービー2着のエフフォーリアとの、3強対決に注目が集まっていた。グランアレグリアは2番手からレースを進め、直線では先に抜け出したが、それを目標に伸びてきたエフフォーリアとコントレイルに交わされて3着。またも3階級制覇の夢は叶わなかった。
そして引退レースとなるマイルCS。シュネルマイスターやダノンザキッドといった3歳勢をまとめて差し切り、マイルCS連覇でラストランを見事に飾ってみせた。
12月18日の全レース終了後、中山競馬場にて引退式が行われ、グランアレグリアはターフに別れを告げた。
引退後は繁殖牝馬として、初年度のエピファネイアとの仔が2023年に誕生。順調ならば2025年にデビュー予定で、活躍が期待される。
(文●中西友馬)