
④2017年(勝ち馬キタサンブラック)
札幌記念や毎日王冠と並んで、いわゆる「スーパーG2」などと呼ばれることも多かった大阪杯。それだけ例年好メンバーが集まっていたわけだが、そんな「スーパーG2」に別れを告げたのが、2017年。正式名称である産経大阪杯から大阪杯へと名称変更がなされ、G2からG1へと格上げになった。優勝賞金も前年の6700万円から1億2000万円へとほぼ倍増され、名実ともに春の中距離王決定戦となったのである。そんなG1昇格初年度となる、2017年の大阪杯は、戦前から3強対決と目されていた。
1番人気は、5歳馬のキタサンブラック。この時点で既にG1・3勝を挙げているトップホースであったが、前年の有馬記念では1学年下のサトノダイヤモンドに敗戦。天皇賞(春)でのリベンジに向けて、ここは負けられない戦いであった。続く2番人気は、そのサトノダイヤモンド世代のダービー馬である、4歳馬マカヒキ。ダービー優勝後は、フランスに遠征してニエル賞を勝利。凱旋門賞と4歳始動戦の京都記念では敗れたが、遠征帰りを一度叩いての本領発揮が期待されていた。そして3番人気は、キタサンブラック世代、5歳馬のサトノクラウン。年末の香港ヴァーズでは、凱旋門賞2着の実績馬ハイランドリールを下してG1初制覇。続く京都記念でもマカヒキを3着に下しており、5歳を迎えてまさに本格化を果たした印象であった。この3頭までが単勝10倍を切る人気に推され、発走を迎えた。
レースは、徹底先行型のマルターズアポジーがハナを切り、ロードヴァンドールが2番手を追走。その後ろにキタサンブラックがつけ、サトノクラウンはそれを見る形。マカヒキは後方集団から進めていた。後続を引き離す逃げを打つマルターズアポジーだが、前半1000mの通過は59秒6とほぼ平均ペース。離れた2番手以降は、平均より遅めの流れで推移していた。その隊列のまま4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、マルターズアポジーのリードはみるみる縮まり、残り300mあたりで早くもキタサンブラックが先頭へと躍り出る。その後ろからステファノスやヤマカツエースが追うが、脚いろはキタサンブラックとほぼ同じ。人気を集めたマカヒキやサトノクラウンの伸びもひと息で、キタサンブラックが悠々と押し切り勝ち。キタサンブラックをマークする形で運んだステファノスが2着、そこから半馬身差の3着にヤマカツエースが続いた。
勝ったキタサンブラックは、G1昇格初年度の大阪杯勝ち馬となり、歴史に名を刻んだ。前年アンビシャスの2着に敗れた雪辱を果たしたキタサンブラックは、続く天皇賞(春)でもレコード勝ち。有馬記念で敗れたサトノダイヤモンドへのリベンジも達成し、現役最強馬の名をほしいままにした。