世紀末覇王や無敗の三冠馬がまさかの敗戦。波乱を呼ぶ“大阪春の陣”を振り返る【大阪杯名勝負 5選】
2017年にG1へと格上げされて、今年2025年が9年目。春の中距離王決定戦としてのポジションを確立してきている大阪杯。、古馬の芝中距離馬にとっては、1年のうちで最初の大目標となっている。そんな大阪杯のG2時代も含めた歴史の中から、5つのレースをピックアップして紹介する。

①2001年(勝ち馬トーホウドリーム)
最初に取り上げるのは、2001年の大阪杯。世間的には20世紀が終わりを告げ、21世紀が始まったタイミング。競馬界でも新世紀の始まりを告げる出来事が起きたのが、この大阪杯であった。
戦前の注目は、なんと言っても「世紀末覇王」ことテイエムオペラオー。前年の旧5歳(現4歳)シーズンを、G1だけでなく前哨戦も含めてひとつも落とさずに8戦8勝。圧倒的な着差をつけることは少なくても、どんな苦しい展開でも最後はねじ伏せる勝ちっぷりには凄みを感じさせた。
そんなテイエムオペラオーが新5歳シーズン初戦に選んだのが、大阪杯であった。並の馬であれば、「前哨戦だし負けるかも」と思わせるものだが、前年8戦8勝の姿を見せられている以上は逆らうことは難しく、単勝1.3倍の断然人気に推されて、発走を迎えた。
レースは、タマモヒビキがハナを切り、スエヒロコマンダーが2番手へとつける。テイエムオペラオーは大外枠だったこともあって中団やや後方寄りの外めを追走。前半1000mの通過は59秒1と、ほぼ平均ペースで推移していく。レースが動いたのは、3角過ぎ。後方にいたアドマイヤボスの後藤騎手が、テイエムオペラオーに被せるように早めに動いたことで一気にペースアップ。それを察知したテイエムオペラオーと和田騎手も先にまくって上がっていき、その2頭の進路をなぞるようにエアシャカールと蛯名騎手のコンビも前を射程圏に捕える。まくり合戦の様相で4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、前で頑張っていたタマモヒビキを、まくって上がってきた3頭が捕えての追い比べ。前年はこの争いをことごとく制してきたオペラオーだったが、先に動かされて目標となったぶん突き離す余力はない。最後に動いたエアシャカールが外から抜け出したかに見えた刹那、その後ろを影のようにヒタヒタと迫っていたのが、トーホウドリームと安藤勝己騎手。競り合う3頭をまさに漁夫の利で一気に交わしてゴール板を駆け抜けた。
2着にエアシャカールが入り、そこから1馬身差の3着がアドマイヤボス。断然人気のテイエムオペラオーはそこからアタマ差遅れた4着に敗れ、連勝は8でストップ。芝のレースでは、初めて馬券圏外に敗れた。