HOME » コラム » 5選 » キングカメハメハ産駒の最高傑作は? 日本競馬史に轟く”大王”の名を受け継ぐ名馬5選 » ページ 5
Duramente
ドゥラメンテ

⑤ドゥラメンテ

 最後に取り上げるのは、種牡馬としての活躍から、キングカメハメハの正統後継者というイメージが強いドゥラメンテ。ドゥラメンテは、エリザベス女王杯を連覇した母アドマイヤグルーヴにとって、最後の仔でもあった。アドマイヤグルーヴはエアグルーヴの仔であるため、先述したルーラーシップは、ドゥラメンテの叔父にあたる血統ということになる。

 そんな超良血馬のドゥラメンテは、2014年10月の東京でデビュー。単勝1.4倍の断然人気に推されたが、出遅れに加えて外々を回る苦しい競馬で2着に敗れる。2戦目の未勝利戦でもゲートに課題こそ残ったが、後続に6馬身の差をつける圧勝劇で初勝利。年が明けて3歳シーズン初戦となったセントポーリア賞でも5馬身差の圧勝を飾ると、重賞初挑戦となった出世レースの共同通信杯でも単勝1.8倍という圧倒的な支持を集める。

 しかし、道中折り合いを欠いてスタミナをロスしたことにより、リアルスティールに内をすくわれて悔しい2着。その後は、皐月賞トライアルを使う選択肢もあったはずだが、セントポーリア賞と共同通信杯が中1週だったこともあり、トライアルを見送り。

 賞金面は心許ないながらも、陣営は皐月賞直行のプランを実行すると、これが功を奏し、皐月賞の登録馬は36年ぶりにフルゲート割れ。幸運を引き寄せて出走が叶うと、先に抜け出したリアルスティールを差し切ってG1初制覇。直線で外に持ち出すときに大きく膨れて他馬の進路を妨害してしまい、初コンビとなったミルコデムーロ騎手は開催4日間の騎乗停止となったが、レースはそのまま確定した。

 続くダービーもレースレコードで制し、史上8頭目の3冠制覇に期待がかかったが、放牧中の骨折によって長期離脱。菊花賞に挑戦することはできなかった。翌春の中山記念で復帰し、復帰戦を見事勝利。その後のドバイシーマCと宝塚記念でも2着に好走したが、宝塚記念の入線後に歩様が乱れ、靭帯や腱の損傷が発覚。競走能力喪失の診断が下され、電撃引退となった。

 現役引退後は種牡馬入りを果たし、初年度産駒からG1・3勝のタイトルホルダーを輩出するなど大活躍。3世代目には、アーモンドアイを輩出したロードカナロアと同じく、3冠牝馬リバティアイランドの父ともなった。2021年に9歳という若さで天国に旅立ってしまったため産駒は5世代のみだが、数少ない産駒の中から活躍馬を多数輩出。さらには死去後の2023年には、ディープインパクトが長らく守ってきたリーディングサイアーの座を獲得。かえすがえすも早逝が惜しまれる名馬であった。

 自身が芝1600mと芝2400mのG1を勝利しているのと同じように、産駒もオールマイティーな活躍を見せているキングカメハメハ。紹介したように、自身が走ったことのないスプリント戦やダートでも、トップホースを輩出。現時点の産駒通算勝利数でディープインパクト、サンデーサイレンスに次ぐ歴代3位の記録を持つ、まさに大種牡馬である。現役の産駒はだいぶ少なくなってきてしまったが、産駒は牡馬・牝馬ともに活躍馬が数多く、キンカメの血は脈々と受け継がれていく。

【了】

(文●中西友馬

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