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まさに重賞級だった“伝説の新馬戦”(2)重賞級の馬たちを子ども扱いした“世界最強馬”の衝撃デビュー

text by TOM

競走馬としての第一歩を踏み出す「新馬戦」。多くのサラブレッドが未来への期待を背負いながらデビューする舞台だが、振り返ってみると、のちに競馬史に名を刻む名馬たちがくしくも同じレースに出走していた例がある。今回は、そんな「伝説の新馬戦」を5つ厳選して紹介する。2レース目は2021年に行われた新馬戦。

Equinox
1着イクイノックス(写真右)、3着サークルオブライフ(写真中央)

勝ち馬:イクイノックス(2021年8月28日、新潟・芝1800m)

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1着 イクイノックス (2022年天皇賞・秋、有馬記念、2023年ドバイシーマC、宝塚記念、天皇賞・秋、ジャパンカップ)
3着 サークルオブライフ(2021年阪神JF)
4着 サトノヘリオス(2022年スプリングS3着、ラジオNIKKEI賞3着)
6着 ウィルソンテソーロ(2023年チャンピオンズC2着、2024年JBCクラッシック、チャンピオンズC2着)
9着 キングズパレス(2024年新潟大賞典2着、七夕賞2着、新潟記念3着)
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 続いて紹介するのは、3歳秋の天皇賞から怒涛のG1・6連勝を飾り、世界ランク1位の座を守ったまま現役を退いたイクイノックスのデビュー戦である。

 このレースで単勝2.1倍の1番人気に支持されたのは、近親に2005年の秋華賞馬エアメサイアを持つ良血馬・サトノヘリオス。結果は4着に敗れたものの、次走の未勝利戦とエリカ賞をともにレコード勝ちし、素質の高さを証明した。一方、G1・7勝の名馬キタサンブラックの初年度産駒だったイクイノックスは、4.6倍の2番人気で出走した。

 スタート直後、イクイノックスは勢いよく前へ出ようとするも、鞍上のC.ルメールが冷静に制御。向こう正面では2、3番手の好位に収まり、手応え十分のまま進出した。

 最終コーナーを回ると、各馬が激しく追い出しにかかる中、イクイノックスは“持ったまま”。そこへ最内から迫ったのが、単勝7.1倍の4番人気サークルオブライフだった。結果は3着に敗れるも、その後未勝利戦からG3アルテミスS、G1阪神JFと3連勝し、最優秀2歳牝馬に選ばれる活躍を見せた。

 残り400mで楽々と先頭に立ったイクイノックスは、200mを切った地点で再加速。メンバー中最速の上がり3ハロンの末脚で後続を突き放し、衝撃的なデビュー勝ちを収めた。

 6着に敗れたウィルソンテソーロ(6番人気)は、その後ダート路線へ転向すると才能が開花。破竹の4連勝でOP入りし、Jpn3を3連勝。2024年のJBCクラシック(Jpn1)でG1級制覇を達成し、現在も第一線で活躍している。

 後方から追い込んで9着だった3番人気キングズパレスも、2024年の新潟大賞典、七夕賞でG3連続2着。今年6歳を迎え、悲願の重賞制覇へ向けて爪を研いでいる。

【了】

(文●TOM

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