【騎手マニュアル】“若手のホープ”永島まなみ。 小倉で絶対に買いたい条件とは?
「騎手マニュアル」連載第4回では、永島まなみ騎手を取り上げる。3場開催時には、若手ジョッキーがローカル競馬場を主戦場とすることが多く、現在開催中の冬の小倉(通称:冬コク)でもその傾向が見られる。永島騎手もこの小倉開催に騎乗しており、存在感を示している。そこで今回は、永島まなみ騎手の小倉における馬券の狙いどころについて、ライターの勝木淳氏(@jamjam_katsuki)が考察する。

若手のホープ、永島まなみ
唐突だが、「女性騎手」という言葉があまり好きではない。騎手はプロスポーツのなかでも、男女が同じ条件で勝負するめずらしい世界であり、性別は関係ないからだ。だが、JRAが女性騎手の平場永久2キロ減という制度をつくってしまい、「女性騎手」という言葉は制度として残り続けることになった。デビュー時の減量も女性は4キロ減となり、これが減量苦を生むという負の側面もあらわれた。
男女の体力差や筋力のちがいを考慮した特典であることは理解できるものの、はたして馬をあやつるというのは筋力なのだろうか。競馬は奥が深い。おさえるという行為と、あたりのやわらかさはイコールではない。がっちり乗りこなさないと走らない馬もいれば、やさしくさとすようにアプローチして喜ぶ馬もいる。人間も馬も千差万別。それぞれが自分の特性を活かせばいい。
前置きが少々長くなったが、永島まなみ騎手はここまで順調にキャリアを重ねており、若手騎手の有望株といっていい。栗東に拠点を移した横山典弘騎手のくんとうを受け、着実に腕をみがいてきた。外を豪快に差し切る騎乗などは、前半はリズムを大切に運び、負荷をかけない横山典弘騎手の得意パターンにそっくり。馬にゆだねながら、それでいて勝機を見のがさない。将来、そんな信頼できる騎手になる予感がする。
21年 7勝
22年 21勝
23年 50勝(5月に★→▲)
24年 32勝(3月末に▲→♢)
減量特典の推移もあわせて、勝ち星を出してみた。23年は4月に9勝と活躍したのち、3キロ減になった直後にスマホ問題で1カ月の騎乗停止になり、復帰後も7月に3勝、8月に1勝とやや鈍化したかに見えたが、10月に10勝、11月に7勝、12月に6勝と見事に軌道にのった。減量騎手は勝利を重ねるごとに特典が減り、勝ち星が鈍ることもあるが、まなみ騎手はその落ちこみが少ない。
24年3月末に実質、若手騎手の減量特典を返上してからも、大きな落ちこみはなかったものの、月別でみると、平均値はさすがに落ちた。25年は永久2キロ減だけで戦う1年であり、24年の32勝を少しでも上回れれば、間違いなく一本立ちできるだろう。それだけに2月小倉での落馬負傷は痛い。過酷な世界を生きぬく力で、あとに続くものたち、そして競馬ファンに希望をあたえる存在になってほしい。