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【騎手マニュアル】日本人エースジョッキーは“結果で応える男”。川田将雅の狙いどころは?

text by 勝木淳

「騎手マニュアル」連載第3回目では、2022年に悲願のJRAリーディングジョッキーの座を獲得した川田将雅騎手を取り上げる。名実ともに日本人ジョッキーのトップを走り続ける存在であり、その姿勢は馬券購入者にとっても注目の的だ。記者へのコメントにも細心の注意を払う真摯でまじめな彼の一言一句が、馬券購入時の「予想」の重要なヒントになることさえある。今回は、そんな川田騎手の馬券の狙いどころについて、ライターの勝木淳氏(@jamjam_katsuki)がその特性に迫る。

YugaKawada
川田将雅騎手

「厳選騎乗」は川田騎手の代名詞である

 ルメール騎手と毎年リーディング争いを繰り広げる日本人エースジョッキー、川田将雅。その特徴を如実に表すのが以下の成績だ。

2022年:143勝/552騎乗/勝率25.9%/連対率44.2%/複勝率58.2%
2023年:151勝/495騎乗/勝率30.5%/連対率47.7%/複勝率60.0%
2024年:141勝/481騎乗/勝率29.3%/連対率46.4%/複勝率58.2%

 これに対し、ルメール騎手の同年の騎乗数は567回、666回、590回と、川田騎手よりも直近2年で100回以上多い。年間開催日数が約105日であることを考えると、川田騎手の1日あたりの騎乗数は平均4~5鞍程度。特に2024年は夏場に休養した影響もあり、さらに少なくなった。それにも関わらず、2023年には勝率が驚異の30%を超え、連対率も平均で45%に達している。

 この「厳選騎乗」は、まさに川田騎手の代名詞といえるだろう。

 川田騎手が何か月も前から依頼を受けるのは、彼を信頼する陣営が多いためだ。その信頼を裏切らないために、リスクが高い馬への騎乗を避け、慎重にジャッジを下す。これには「判断が厳しすぎる」という批判もあるが、騎乗馬を吟味することは騎手としての当然の権利であり、むしろ自己管理能力の高さを示している。

 我々の社会でも「頼まれればなんでもやる」という便利屋さんは重宝されるが、「自分がすべきことは自分で選ぶ」という姿勢やという矜持もまた貴重だ。こうありたいという理想像を実現していく実行力、これが川田騎手だ。嫌われることを厭わず、自分の信念を貫く。そんな生き方をしたい。そう思わせる男でもある。
 

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