HOME » セレクト » 福永祐一騎手とのコンビが印象深い名馬たち (2) “牝馬の福永”にGⅠ初制覇をもたらした桜花賞馬

福永祐一騎手とのコンビが印象深い名馬たち (2) “牝馬の福永”にGⅠ初制覇をもたらした桜花賞馬

text by 中西友馬

2024年に厩舎を開業した、福永祐一調教師。その直前の2023年までは騎手として、歴代4位の勝利数を誇るトップジョッキーであった。今回は、そんな福永祐一元騎手とのコンビが印象的であった馬に注目。その中から5頭をピックアップして紹介する。二頭目はプリモディーネだ。

PrimoOrdine
第59回桜花賞を制したプリモディーネと福永祐一騎手

プリモディーネ

 初のダービー騎乗となった1998年、その秋に福永は1頭の牝馬と出会う。それがプリモディーネであった。

 しかし、プリモディーネには新馬戦から騎乗していたわけではなかった。プリモディーネの初戦は3歳(現2歳)10月、父アフリートがダートで活躍した馬であったこともあり、ダート1400m戦でのデビューであった。そしてその背中には、幸騎手の姿があった。

 そのダートの新馬戦を勝利したプリモディーネは、翌月に芝のファンタジーSに出走することとなる。初戦の鞍上を務めた幸騎手は1番人気のエイシンレマーズに騎乗。そこで白羽の矢が立ったのが福永であった。6番人気と伏兵評価であったが、中団からの差し切り勝ちで重賞初制覇。4歳初戦のチューリップ賞では4着に敗れてデビューからの連勝はストップしたが、続く桜花賞では後方から鮮やかな追い込みを決めて勝利。G1初制覇を飾った。

 そしてこの勝利はプリモディーネのG1初制覇とともに、鞍上の福永にとっても、挑戦25回目にして嬉しいG1初勝利となった。ゴール前では喜びを爆発させ、左手で大きくガッツポーズを作っていたのが非常に印象的であった。

 全10戦のうち福永が騎乗したのは半分の5戦にすぎず、さらにはこの桜花賞以来、現役引退まで勝利を挙げることのできなかったプリモディーネ。

 それでも、ここから2011年までに勝利したJRAのG1・15レースのうち、10勝を牝馬で挙げ、「牝馬の福永」と称された牝馬との相性の良さは、このプリモディーネとの桜花賞制覇から始まった。

【了】

(文●中西友馬

【関連記事】
「福永祐一とのコンビが印象深い」名馬たち(1)
「福永祐一とのコンビが印象深い」名馬たち(3)
「福永祐一とのコンビが印象深い」名馬たち 全紹介