日本競馬史上最強のスプリンター「ロードカナロア」産駒の最高傑作は?(5)世界を股にかけた大逃げ野郎
ロードカナロアは、現役時代6つのG1タイトルを獲得し、最強のスプリンターとして名を馳せた。特に当時芝スプリントで日本馬が歯の立たなかった香港に乗り込み、香港スプリントを連覇したことは歴史に残る大偉業であった。香港では“龍王”と称された彼の血を受け継ぐ、後継馬を紹介する。今回は最後はパンサラッサだ。
パンサラッサ
香港スプリントを連覇し、「世界のロードカナロア」と称された父の血を受け継ぎ、世界で活躍した産駒もいた。それがパンサラッサである。
父の3世代目としてデビューすると、3戦目の未勝利戦で、後続を2秒5引き離す大差勝ちで初勝利を挙げる。しかしその後は、重賞勝ちだけでなくOPクラスでの勝利もないまま、4歳を迎えた。
転機となったのは、4歳秋のオクトーバーS。初めて吉田豊騎手とのコンビを組んだ一戦で、道中後続を10馬身近く引き離す大逃げ。最後はアタマ差まで詰め寄られたものの逃げ切り、OPでの初勝利を挙げた。
続く福島記念でも前半1000m57秒3というハイペースを逃げ切り、重賞初制覇。ハイラップであっても自分のペースを刻み、後続になし崩し的に脚を使わせるという戦法が、確立した瞬間であった。
その戦法が世界にも通用することを見せたのが、翌年のドバイターフだ。初の海外遠征でも積極的にハナを奪うと、翌年ドバイターフ3連覇を達成する、イギリスのロードノースと鼻面を併せて入線。写真判定の結果、1着同着でG1初制覇を飾った。
さらに大きなインパクトを残したのが、同年の天皇賞(秋)。前半1000m57秒4のハイラップについてくる馬はおらず、道中は15馬身ほどのリードを作る大逃げ。ゴール寸前で、後に世界ランキング1位となるイクイノックスに交わされはしたが2着に粘り、ファンを大いに沸かせた。
翌年のサウジカップでも、2度目のダート挑戦ながら逃げ切り勝ちを収め、再び世界を驚かせたパンサラッサ。
同年のジャパンカップを最後に現役を引退し、種牡馬となることが発表された。
国内獲得賞金の合計が約3億円なのに対して、サウジカップ1戦だけで約13億6000万円を稼ぎ、一口馬主に夢があることを教えてくれたパンサラッサ。
南半球での種付けも予定されており、現役時代同様に世界を股にかけての活躍が期待される。
【了】
(文●中西友馬)
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