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マイルCS参戦のチャリン、“現役欧州最強マイラー”の実力&取捨を考察

text by 中西友馬

今週は秋のマイル王決定戦、マイルチャンピオンシップが行われる。淀のターフに豪華なメンバーが揃ったが、馬券検討をする上で避けて通れないのが、このレース13年ぶりの外国馬参戦となる、英国馬チャリンをどうみるかだろう。特にマイル路線は、春の安田記念も香港馬ロマンチックウォリアーが勝利しており、春秋ともに外国馬にG1を持っていかれるわけにはいかない気持ちもあるはず。今回は、チャリンがどんな馬であるかの紹介と取捨について書いていきたい。

Charyn
Getty Images

 
 まずはチャリンのプロフィールについて。英国調教馬のチャリンは4歳牡馬。3歳時までは、11戦して2歳で挙げた2勝のみという戦績。G1タイトルにも縁がなかったが、7ヶ月の休養を経て迎えた4歳シーズンに覚醒。7戦して5勝2着2回と連対率100%の走りでG1タイトルも3つ獲得。一気に欧州トップクラスのマイラーへと駆け上がった。

 前走のQE2世Sでは、アスコットの重馬場で1分45秒98という1800mのようなタイムで勝利しているが、3走前のジャックルマロワ賞では1分33秒98で勝利を挙げており、同じ芝のマイルで12秒の差が出る馬場にも対応。1分33秒台の時計で走れているというのは、日本の馬場への適性を測る意味でも大きな時計の裏付けとなる。

 さらに父のダークエンジェルは、産駒が日本で11頭勝ち上がり。全28勝のうち26勝を芝で挙げており、その全てが1600m以下である。代表産駒は高松宮記念を制したマッドクールで、血統面からも日本の馬場に対応できる下地はありそうだ。

 また、写真や動画を見る限りはかなり雄大な馬体をしており、推定550キロ以上ありそうにも見える。一般的には大柄な馬のほうが輸送の影響を受けにくいと言われており、今年の安田記念を制したロマンチックウォリアーも500キロを超える大型馬であった。

 そしてテン乗りではあるが、日本を熟知したR.ムーア騎手を鞍上に迎え、万全の態勢。これだけでもかなり注目を集める存在となりそうで、実際にオッズも推定5番人気以内の評価は受けそうだ。

 では実際、チャリンの取捨選択はどうなのか。ここからは私個人の見解となる。

 過去にマイルチャンピオンシップに出走した外国馬は延べ11頭。今回のチャリンこそ13年ぶりとなるが、初の外国馬参戦となった2003年から2011年までの9年間は、2005年を除いて毎年のように外国馬が出走していた。

 最高着順は2009年と2011年のサプレザの3着で、サプレザは3年連続で出走して③④③着の成績を残した。しかし、日本の馬場に適性を示したのはこのサプレザだけで、ラクティやコートマスターピース、イモータルヴァースはいずれも、3番人気以内で凡走している。

 また、チャリンは3月からほぼ月1走ペースで今年8戦目。それに加えて初の欧州以外での競馬となると、お釣りが残っているかも不安材料ではある。

 さらに、現在の欧州マイル路線は混沌としており、全体的なレベルもそこまで高い印象は受けない。安田記念でロマンチックウォリアーに敗れた日本勢ではあるが、日本の馬場で戦う限りはやはり欧州馬より香港馬のほうが脅威で、人気上位の予想される今回は特に、積極的に狙いたいとは思えない。という理由から、個人的な見解としては厳しい戦いになるのではないかという結論に至った。

 ただ、外国馬が参戦してくれることはもちろん大歓迎で、さらにチャリンはマイルチャンピオンシップが引退レースとのこと。

 この時期の欧州勢はBCに遠征することが多く、チャリンもBCマイルに出走していれば有力馬の1頭に数えられていただろう。そんな中、ラストランに日本の地を選んでもらえたことは光栄で、頑張ってほしい気持ちはもちろんある。

 この馬が好走することで、また毎年のようにマイルチャンピオンシップに外国馬が参戦してくれるようになれば、日本の競馬が盛り上がることは間違いない。

 いずれにせよ、チャリンの走りを見られるのはこれで最後。欧州トップマイラーの走りを楽しみにしたい。

【了】

(文●中西友馬)

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