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“令和の逃走王”パンサラッサや“香港GⅠ2勝”ウインブライトなど【福島記念 名勝負5選】

text by 中西友馬

1965年に創設した福島記念は、開催時期こそ1973年まで何度か変更となったが、1974年からは11月開催が定着している。施行条件に関しては、創設当初から福島芝2000mで行われており、秋の福島開催のフィナーレを飾るレースとなっている。そんな福島記念の歴史の中から、5つのレースをピックアップして紹介する。

ダイワファルコン
写真は2011年カシオペアSを制したときのダイワファルコン

①2013年(勝ち馬ダイワファルコン)

 最初に取り上げるのは、2013年の福島記念。この年はオッズが割れながらも、主に2頭の馬が人気を集めていた。

 1番人気は、4歳馬のディサイファ。3歳の6月に初勝利を挙げてから、500万下(現1勝クラス)で長い足踏みが続いていたが、4歳の5月に約1年ぶりの勝利で500万下を突破。そこからは軌道に乗り、前走の甲斐路Sを勝利してOP入りを果たしていた。

 重賞は初挑戦であったが、近走の勢いとトップハンデから3キロ軽い55キロという斤量面のアドバンテージが評価され、単勝2.7倍の1番人気に推されていた。

 対する2番人気は、5歳馬のマイネルラクリマ。こちらはディサイファと対照的に、重賞2勝を挙げていた実績馬。さらに福島コースはめっぽう得意で、同年の七夕賞を含めて2戦2勝と舞台適性はかなり高かった。その点が評価され、単独のトップハンデとなる58キロを背負っていても、単勝3.6倍という2番人気の支持を受けていた。

 3番人気の前年覇者ダイワファルコンは単勝8.0倍と、上位2頭が少し抜け出した人気に推され、発走を迎えた。

 レースは、ミキノバンジョーがハナを切ったかに思えたが、外から押して押して前へと上がっていったネコパンチが、1角過ぎにハナを奪い切る。ミキノバンジョーは2番手に控え、マイネルラクリマはその直後となる好位のインを確保。ディサイファは中団後方寄りの外めで構える展開となった。

 前半1000mの通過は57秒5。ネコパンチが押してハナを主張したこともあり、速い流れで進んでいく。そのネコパンチは3角手前で早くも後退。代わってミキノバンジョーとマイネルラクリマが先頭で並び、さらにコスモファントムとダイワファルコンもその2頭に並びかけ、4頭ほぼ横並びで4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、その4頭から抜け出したマイネルラクリマとダイワファルコンの2頭による争い。一旦はダイワファルコンが外から抜け出すように見えたが、マイネルラクリマも内で必死に抵抗する。その後ろは、外からディサイファと内をさばいてラブイズブーシェが差を詰めてきて、ゴール前は大激戦。

 最後はねじ伏せるようにマイネルラクリマを振り切ったダイワファルコンが勝利。半馬身差の2着にマイネルラクリマが粘り込み、クビ差の3着がラブイズブーシェ。1番人気のディサイファはさらにハナ差の4着となった。

 勝ったダイワファルコンは、スイジン以来43年ぶりとなる福島記念連覇を達成。前年と同じく天皇賞(秋)からのローテーションで、その福島記念以来1年ぶりの勝利を挙げた。

 史上初の福島記念3連覇を目指した翌年はシンガリ負けとなり、3連覇達成はならなかったが、前年よりハンデが重くなることの多いハンデ重賞での連覇達成は、素晴らしい功績である。

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