リスグラシュー、ソダシら超名牝への登竜門【アルテミスS名勝負5選】
阪神ジュベナイルフィリーズの前哨戦として、2012年に新設されたアルテミスステークス。新設から2年が経った2014年からは、G3の格付けとなっている。
東京芝1600mを舞台にしていることもあり、牝馬の出世レースともいわれている注目のレースだ。そんなアルテミスステークスの歴史の中から、5つのレースをピックアップして紹介する。
①2015年(勝ち馬デンコウアンジュ)
まず最初に取り上げるのは、新設されて4年目、G3格付けとなって2年目となる2015年のアルテミスステークス。
この年の人気の中心は、デビューから2戦2勝のメジャーエンブレムであった。デビュー2戦はともに好位追走から抜け出す横綱相撲で危なげない勝利。デビュー戦で東京コースも経験しており、死角は少ないように思えた。
2番人気となったのはカイザーバル。こちらは1戦1勝ながら、その新馬戦が4馬身差で圧勝していた。母はG1馬のダンスインザムードという良血馬で、素質の高さを期待されての対抗評価であった。
レースは、エスティタートがハナを切る形となったが、大外枠で前に壁の作れなかったメジャーエンブレムが、若干かかり気味に先頭へと立つ。
スタート直後は中団辺りだったカイザーバルは、外を上がって好位まで浮上した。こちらも行きたがる素振りを鞍上がなだめながらのレースとなる。前半の800mは47秒3と、ほぼ平均ペースで通過し、4角を回って最後の直線コースへと向かう。
直線に入っても、先頭はメジャーエンブレム。残り400mで追い出されると、ジリジリと後続との差を広げにかかる。カイザーバルは伸びを欠き、代わって大外から伸びたのは、伏兵デンコウアンジュであった。
最内で粘るメジャーエンブレムと、大外から追い込むデンコウアンジュ。ピンクの帽子2頭の争いは、勢いに勝るデンコウアンジュがクビ差で勝利を果たした。3着には、連れて伸びてきたクロコスミアが入った。
勝ったデンコウアンジュは、未勝利を勝ったばかりで単勝82.8倍の12番人気であった。初の関東遠征で馬体は18キロ減っており、スタートでも立ち遅れ気味だったが、後方から末脚一閃で勝利をものにした。
デンコウアンジュはその後、古馬になってから重賞タイトルを2つ上積み。さらにはG1ヴィクトリアマイルでも11番人気で2着に健闘した。8歳まで牝馬重賞戦線を賑わせたが、重賞で馬券に絡んだレースは常に4番人気以下。穴党ファンから愛された馬であった。