【障害戦の予想法】元トラックマン直伝!“障害未勝利”を攻略するポイント①初障害の馬の取捨選択

平地とは異なる魅力が詰まった障害レース。かつて障害試験の採時も担当した筆者が、“史上最強の障害馬”オジュウチョウサンの強さを紐解きながら、「障害未勝利戦」を予想するための具体的なポイント3つに絞り、分かりやすく解説する。今回は1つ目のポイントを紹介する。
障害未勝利を攻略するための3つのポイント
今回は、予想をする上での材料が少ないと思われがちな、障害未勝利について予想のポイントを紹介していく。
障害戦は平地競走と異なり、クラスは未勝利とオープンの二つしか存在しない。未勝利戦を勝ち上がった馬はオープンクラスとなり、その後はずっとオープンクラスに在籍することとなる。
一方、未勝利戦というのは、障害レースで一度も勝ったことのない馬が出走できるクラスであり、平地での実績は全く関係ない。平地でG1を勝っている馬であっても、平地未勝利の馬であっても、障害戦で勝ち鞍がなければ、同じ「障害未勝利」という舞台で戦うことになるのである。
この障害未勝利を予想する上で、個人的に重要視しているポイントを3つのパターンに分けて整理する。
①初障害の馬の取捨選択
②障害2〜3戦目の馬の取捨選択
③障害4戦目以降の馬の取捨選択
それぞれ相互に関連する部分もあれば、重要視する部分が微妙に違うこともあるため、このような形での紹介となった。
前編の今回は、①の初障害の馬の取捨選択について話をする。後編で扱う②と③ともリンクする部分があるため、ぜひとも後半の記事も併せて読んでいただきたい。
①初障害の馬の取捨選択
まず最初に話をするのは、初障害の馬の取捨選択について。例えば平地レースの場合、新馬戦の予想は既走馬たちのレースと比べて数は少ないが、血統や調教、生産牧場や騎手など、いくつかのファクターが存在する。
しかし、障害未勝利に出走する初障害の馬の場合、予想のファクターは平地時代の成績がほとんどを占めており、それでオッズが構成されることが多い。もちろん平地時代の成績が障害戦で全く関係ないことはないが、それによってオッズが大きく左右されている以上、盲信するのは危険だと考えている。
では、なにを見て取捨選択すればいいのか。個人的にまず重視しているのは、その障害未勝利が行われる競馬場。いわゆるバンケットがあったり途中で逆回りになったりする競馬場は、初障害の馬にはかなり難易度が高い。
逆に平地レースと同じようにぐるぐる回る競馬場、例を挙げると中京競馬場や新潟競馬場。この2つは特に、飛越の巧さが如実に表れないため、平地の脚がある初障害の馬であれば、いきなり活躍しやすい競馬場と言える。
あとはスクーリングという、レース前日などに実際に障害を見せたり飛ばしたりすることができる競馬場も、初障害の馬の好走率は上がる。関東馬も関西馬もスクーリングができる例を挙げると、新潟競馬場や小倉競馬場が挙げられる。
その他の競馬場では、例えば東京競馬場や中山競馬場では関東馬がスクーリングできず、阪神競馬場や京都競馬場では関西馬がスクーリングできないというルールがある。このあたりも、初障害の馬には超えなければいけない大きなハードルとなっている。
そして、初障害の場合は騎手も重要となってくる。細かく1人ずつ話していくことはできないが、平たく言うと、初障害に関しては若い騎手のほうが好走率が上がると考えている。
やはり当然のことながら騎手も人間であり、初障害の馬にレースで乗るのは少なからず不安もある。ベテランジョッキーになればなるほど、まずは無事に回ってきて、次走以降で勝負というふうに考える人が増える傾向にある。
初障害の馬で勝負にいけば、そのぶん落馬などのリスクが高まるということを考えれば、まずはソロっと出して様子を見たいと考えるのは自然なこと。もちろん騎手一人一人の性格の違いによるものはあるが、総じて言えば、初障害から勝負にいってくれるのは比較的若いジョッキーに多い。
例を挙げれば、小牧加矢太騎手や森一馬騎手、伴啓太騎手あたり。この騎手たちが初障害の馬に乗っている時には、個人的に注目している。
①初障害の馬の取捨選択のつづき
あとは、平地時代に走っていたレースに関して、芝長距離を走っていた馬が人気になりがちではあるが、個人的にはあまり関係ないと感じている。特に未勝利戦はほとんどが3000m以下で行われることもあり、スピードで押し切れてしまうことがほとんど。
例えば、平地時代に短距離〜マイルあたりで活躍していた馬であっても、障害戦であれば距離を問題なくこなすパターンは十分に存在する。むしろスタミナ面が不安視されて人気を落とすようなら、そちらのほうが狙い目とも言える。
あとは、競馬新聞を買ったり、調教タイムを見ることができるサブスクなどに登録している方は、障害試験のタイムもぜひ確認してみてほしい。障害戦に出走するためには、障害試験というものに合格しないといけないのだが、初障害の馬にとっては、これも大きなファクターとなる。
全体時計ももちろん参考になることはあるのだが、特に見てもらいたいのが上がり3Fのタイム。障害試験で合格・不合格を決めるにあたって、足切りタイムで不合格となるパターンはほとんどなく、不合格となる馬のほとんどは、障害の斜飛である。
障害を真っ直ぐに飛び越えることができない状態で他馬と一緒にレースを行えば、危険であることは誰でも分かることだろう。よって合格・不合格を決定するときに最も重要視しているのが、斜飛の有無なのである。
障害試験に騎乗している騎手もそれが分かっているだけに、障害試験では、レース以上に障害を真っ直ぐ飛び越えることに重点を置いている。そのため、前半の障害を越える部分はゆっくりとなることが多く、全体時計はあまり参考にならないこともある。
現在の私を含めた一般の競馬ファンは、障害試験での飛越を見ることができない以上、時計で判断するしかない。そうなるとより参考になるのが、障害を全て飛び切ったあとの上がり3Fのタイムとなる。
ここには障害がないが、前半でいくつもの障害を飛んで消耗した中で、どれだけの脚が使えるかは非常に参考になる。実際のレースでも、最後の障害を飛び越えてからの脚比べという場面は存在し、これが勝負を分けることも多々ある。そのため、障害試験のタイムを見ることができる方々については、上がり3Fのタイムにぜひ注目してみてほしい。
ただ、ここまで長々と書いたあとに恐縮なのだが、個人的に初障害の馬はほとんど買わない。理由としては、人気妙味がなく、いわゆる期待値が低いからである。もちろん一発回答する馬もいないことはないがかなり稀であり、長い目で見れば、初障害はオールスルーとしたほうが回収率は上がると考えることができる。
先述したオジュウチョウサンであっても、障害初戦はずっと後方を走っており、勝ち馬から13秒7離されたシンガリ負け。特に平地の実績で障害初戦から人気をしている馬に関しては、疑ってかかるところから入るほうが得策である。その中で、ここまで挙げた買える初障害馬のポイントに当てはまる場合だけ、購入を検討することをオススメする。
【了】
【著者プロフィール:中西友馬】
大学卒業後、競馬新聞社に入社し、約7年間専門紙トラックマンとして美浦に勤務。テレビやラジオでのパドック解説など、メディア出演も行っていた。2024年よりフリーライターとしての活動を始め、現在は主に、株式会社カンゼンが運営する競馬情報サイト『競馬チャンネル』内の記事を執筆している。
【関連記事】
・【障害戦の予想法】元トラックマン直伝!“障害未勝利”を攻略するポイント(2)
・【障害戦の予想法】元トラックマン直伝!“障害未勝利”を攻略するポイント(3)
・【障害戦の予想法】元トラックマン直伝!“障害未勝利”を攻略するポイント(全紹介)


