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トリガミに要注意?東京大賞典・3連単低配当ランキング【第5位】単勝1.0倍…断然人気の名馬とは?

text by 小早川涼風
2010年東京大賞典を制した時のスマートファルコン
写真は、2010年東京大賞典を制した時のスマートファルコン

中央競馬では有馬記念が年末の風物詩として親しまれているが、地方競馬では東京大賞典が同じ位置づけにある。日本競馬におけるその年最後のG1競走として、多くのファンが注目する一戦だ。だが、有馬記念に比べると東京大賞典は堅い決着になりやすい。そこで今回は、同競走での3連単低配当をランキング形式で振り返る。今回は第5位。

【第5位】2011年 1780円

■1着スマートファルコン→2着ワンダーアキュート→3着テスタマッタ

2011年の東京大賞典は、「スマートファルコンがいかにして勝つのか」という点に注目が集まった一戦だった。

 前年の同競走を日本レコードとなる2分0秒4という時計で勝利を挙げると、そこから1度も負けることなく勝ち続けてG1級競走は4連勝、重賞7連勝という大記録を樹立したスマートファルコン。

 前走のJBCクラシックではドバイワールドカップ2着のトランセンドとマッチレースを繰り広げたうえで完勝しており、当時のダート界ではトップクラスの成績を残していた。

 加えて、この年の東京大賞典にはフリオーソやトランセンド、エスポワールシチーといったライバルが不在。彼に続く2,3番人気に推されたヤマニンキングリー、ワンダーアキュートは二ケタ台の単勝オッズにとどまっていた。

 これは前走のジャパンカップダートで彼らはトランセンドに完封されており、逆転は難しいと思ったファンが多かったためだろうか。レースの発売が開始されてからスマートファルコンの馬券は売れ続け、最終的に単勝オッズは1.0倍の元返しを記録。これは2025年12月現在、東京大賞典では他に例のない出来事である。

 それほどまでにファンからの期待を背負ったスマートファルコンは、迷わずスタートからハナを切る。上位人気に推されたワンダーアキュート、テスタマッタ、ヤマニンキングリーといった中央勢のライバルがついてきたことにより、ペースは1000mの通過タイム59秒5とハイペースになった。

 これは前年より0秒5遅いとはいえ、十分に速いタイム。それでもスマートファルコンに跨る武豊騎手は4コーナーでも手綱を持ったまま。追撃してくるテスタマッタは直線半ばで置かれ、このまま逃げ切るかと思われた。

 だが、2番手からバテずに食い下がったワンダーアキュートだけが、長く脚を使ってスマートファルコンを追い詰める。前年のこのレースでは3秒以上先にいたライバルとの距離が、僅かコンマ1秒に満たない、手を伸ばせば届きそうなところまで来ていた。

 しかしスマートファルコンも簡単には抜かせず、二枚腰を使って粘る。直線入り口から30秒近く続いた叩き合いは結局、ハナ差でスマートファルコンが先着。王者の意地で最後まで抜かせなかったのだろうか。

 3連単の配当は1780円と、単勝1.0倍の大本命が勝利したレースとしてはそれなりについたといえる。だが、破竹の連勝劇を続けてきたスマートファルコンが、ここまで追い詰められたのはG1級競走ではこれが初だった。

 翌年以降、ワンダーアキュートを筆頭とする多くの新星たちがダートグレード競走で活躍を遂げたのを考えると、この東京大賞典はひとつの時代の転換点だったのかもしれない。

【了】
【著者プロフィール:小早川涼風】
祖父、父の影響で幼い頃から競馬に触れ、社会人後ライターに。地方、中央を問わない競馬漬けの日々を送る。初めて好きになった馬はサイレンススズカ。思い出の馬はファストフォース。

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