凱旋門賞には日本のホースマンたちの“夢”がつまっている――。日本馬挑戦の歴史を回顧する
凱旋門賞は、日本馬にとって長年の夢であり挑戦の場だが、いまだにその壁を超えることはできていない。これまで多くの日本馬が挑戦し、惜しくも2着に終わったケースもあるが、いまだ勝利には至っていない。これまでの日本馬の挑戦を振り返りつつ、凱旋門賞制覇への課題と展望を考えていく。
日本馬の挑戦と苦戦の歴史
欧州の競馬シーズン最終盤のビッグレースである凱旋門賞。改修工事などで使えない時を除いては、仏・パリロンシャン競馬場の芝2400mで行われている。
毎年日本でも大きな注目を集め、日本調教馬も2023年までに31頭の馬が計34回挑戦している。ただ、未だ優勝馬は出ていない。日本馬どころか欧州の馬以外の勝利がなく、ほかの地域の馬からすれば、欧州の高い壁に阻まれている状態である。
日本馬が勝てない要因はいくつか考えられるが、まず最初に挙げられるのは馬場の違いであろう。
日本のジャパンカップも、凱旋門賞と同じ芝2400mで行われている。そのジャパンカップのレコードタイムは、アーモンドアイが記録した2分20秒6。このタイムは世界レコードとなっているため、凱旋門賞の歴代の勝ち時計より速いことは確実だ。
では、凱旋門賞の勝ち時計はどのぐらいかというと、凱旋門賞のレースレコードは2分24秒49。これを単純に比べると、アーモンドアイのほうが4秒近く速い。そのくらい芝の種類や長さが違い、起伏がタフなコースで行われているということが分かる。
これはなにも、日本馬が欧州で苦戦する理由になっているだけではない。逆に欧州の馬も、日本の高速馬場に対応するのが難しくなってきている。
現に、創設当初の10年で8勝を挙げていたジャパンカップでの外国馬の優勝は、2005年のアルカセット以来達成されていない。その結果、勝つ見込みのない挑戦は見送られることが多くなり、近年では外国馬の出走ゼロ、なんて年もあるほどになっている。
そしてこれは、日本馬が凱旋門賞を勝てない理由にも繋がってくる。馬場の合わない可能性のある凱旋門賞を、見送る馬が多いということである。