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【絶体絶命のピンチを突破した名馬 5選】万事休す…?ジェンティルドンナなどが経験した執念の大逆転劇

text by 中西友馬

長く競馬を続けていると、応援している馬が馬群に詰まって力を出し切れず、悔しい敗戦を味わうことは少なくない。だが過去の名馬の中には、そんな窮地に追い込まれながらも見事に状況を打開し、G1タイトルをつかんだ馬たちが存在する。今回は、その中でも特に印象に残る5頭をピックアップして紹介する。[1/5ページ]

①テイエムオペラオー(2000年有馬記念)

2000年有馬記念(写真左テイエムオペラオー)
2000年有馬記念を制した時のテイエムオペラオー(写真左)

 最初に紹介するのは、2000年の有馬記念。このレースの中心は、“世紀末覇王”テイエムオペラオー。

 この2000年は、まさにテイエムオペラオーの年であり、年明け初戦の京都記念から連戦連勝。G1・4勝を含む7戦7勝という、向かうところ敵なしの状態でこの有馬記念を迎えた。単勝オッズは1.7倍、圧倒的1番人気に支持された。

 レースは、ジョービッグバンがハナを切り、ゴーイングスズカが2番手を追走。主導権を取ると目されていたホットシークレットは、出負けして後方から。

 注目のテイエムオペラオーも、好スタートだったが内外から挟まれてポジションを下げてしまい、後方2〜3番手の位置どり。1周目のスタンド前では、ホットシークレットが巻き返して先行集団でポジションを取り直す形となった。

 一気にペースが上がったのは、3角あたり。有力馬の1頭であるナリタトップロードが先行集団に並びかけ、ゴーイングスズカは早くも後退。

 ナリタトップロードの動きに抵抗するようにホットシークレットが先頭へと替わり、その外にアメリカンボス。さらに外からナリタトップロードとダイワテキサスが並びかけて、4頭ほぼ横並びで4角を回る。

 その時テイエムオペラオーは、まだ後方のまま。内外に馬がいて身動きが取れない状態で直線へと向かう。

 直線に入ると、前の争いからダイワテキサスが抜け出して先頭。その外からメイショウドトウやアドマイヤボス、キングヘイローあたりがダイワテキサスを目指して伸びてくる。

 中でも脚いろの良かったメイショウドトウがダイワテキサスに並びかけたその瞬間、2頭の間を突き抜けた青い帽子が、テイエムオペラオー。

 最後はもうひと伸びを見せたメイショウドトウとの接戦となったが、ハナ差で競り勝っての勝利であった。

 直線の短い中山で、4角の位置どりは絶体絶命に思えたが、最後はきっちり捕えきる強さ。2000年の主役が、1年の最後を締めくくったレースであった。

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