【東大流・次世代スター発掘】ソラネルマンに★5「東京芝2000mの2歳戦で上がり3F33.3秒以下かつ2分01秒5以下はアーバンシックらに続く5例目」
東京大学卒の競馬ライター・鈴木ユウヤが、来年のクラシックを見据えて2歳の有望株を発掘していく連載。今回は11月1、2日に出走した2歳馬のうち、内容がよかった馬、話題になった馬をピックアップ。歴代のタイムやラップとも比較しながら評価する。[1/3ページ]
東大流・次世代スター発掘

【評価の目安】
★7:GⅠ確定レベル
★6:GⅠレベル
★5:重賞レベル
★4:OPレベル
★3:水準レベル
★2:やや物足りない
★1:物足りない
11月1、2日の2歳戦レビュー
◆アルカディアカフェ
11月1日 未勝利 東京ダ1600m 1着
評価:★★★★
騎手:レーン
厩舎:美浦・堀宣行
父:Into Mischief
母:Mary’s Follies
母の父:More Than Ready
《短評》
6月以来の実戦。内枠から好発を決めてそのままハナを切った。終始手応え優勢に運び、直線は軽く追った程度で後続をあっさり突き放した。ペースが速かった分、最後は若干甘くなったが、それでも着差は2馬身半の完勝だった。
勝ち時計1:36.0は半兄ルクソールカフェが昨年樹立した2歳レコードと0.2秒差の好時計。ただ、この日はメインのペルセウスSでも1:32.9のスーパーレコードが出た馬場。
ラストの失速具合を加味しても、現状まだ兄と比肩するところまでは行っていないか。いい能力を持っているのは確かだが、今回は★4評価に留めておく。
◆ソラネルマン
11月1日 未勝利 東京芝2000m 1着
評価:★★★★★
騎手:ルメール
厩舎:美浦・手塚貴久
父:フィエールマン
母:ソシアルクラブ
母の父:キングカメハメハ
《短評》
2番枠からゲートは外にヨレ気味だったが、なんとか接触せずに先行し、逃げる形になった。4角はわずかに外へ張る素振りもあったが許容範囲で、直線はしっかり加速。そのまま押し切った。
稍重ながら高速決着が目立つ馬場ではあったが、それでも2:00.0の勝ち時計、逃げて上がり最速タイ33.2秒をマークした内容は秀逸。
東京芝2000mの2歳戦で「上がり3F33.3秒以下」かつ「勝ち時計2:01.5以下」という勝ち方はルージュバック(重賞4勝、オークス2着)、ダノンベルーガ(共同通信杯、ドバイターフ2着)、スキルヴィング(青葉賞)、アーバンシック(菊花賞)に次ぐ5例目だった。
翌日さらに乾いた馬場で行われた百日草特別が2:00.1、勝ち馬アッカンの上がり3Fが33.5秒であり、それより内容は上。重賞戦線に乗ってくる。
◆サトノヴァンクル
11月1日 新馬 東京芝1600m 1着
評価:★★★★★
騎手:ルメール
厩舎:美浦・木村哲也
父:ポエティックフレア
母:トーセンソレイユ
母の父:ネオユニヴァース
《短評》
スタートはいまひとつで後方3番手からの競馬。遅い流れを察して4角で外を押し上げ、先団まで取り付いた。直線は加速にやや手間取ったが、エンジンがかかってからの伸び脚は強烈。粘り込みを図るイトシサを差し切った。
高速馬場かつ1000m通過63.0秒のスローペースで極限の上がりを出しやすいレースだったし、全体時計1:36.9が遅いことも差し引く必要はあるが、それでもラスト10.9-10.9を差し切った脚力は高く評価すべき。ウインドインハーヘアの牝系からまた1頭、楽しみな馬が登場した。
◆テイエムサンレーヴ
11月1日 新馬 京都ダ1800m 1着
評価:★★★★
騎手:団野大成
厩舎:栗東・河嶋宏樹
父:ルヴァンスレーヴ
母:サンジョアン
母の父:ルーラーシップ
《短評》
スタートひと息、二の脚もつかず、序盤は促されながら後方馬群の中を追走する。3~4角も鞍上が手を動かしながら徐々に外へ持ち出していき、直線は大外を通って鋭く伸びた。あっという間に前を飲み込んで2着に3馬身差をつけた。
前夜に降った雨の影響で非常に速い時計が出る馬場だったのは確かだが、それでも2歳新馬で1:52.1なら上々のタイムだ。砂を被る経験をクリアした上で、ラストは12.4-11.9の加速ラップを突き抜けた。2代母サンビスタの良血馬。今後に向けて期待の広がるデビュー勝ちだった。



