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【G1単勝高配当ランキングTOP10】大舞台で起こった大波乱…競馬に“絶対”は存在しない

text by 小早川涼風

競馬の魅力のひとつは、どんなにデータを積み上げても「絶対」が存在しないこと。人気馬が順当に勝つこともあれば、ノーマークだった大穴が激走することもある。そんな競馬の神様のいたずらがあるからこそ、多くのファンが魅了されるのだろう。今回は、数あるG1レースの中から「単勝高配当ランキングTOP10」を振り返る。[1/10ページ]

第10位 2009年エリザベス女王杯

クィーンスプマンテ(単勝77.1倍)

2009年エリザベス女王杯を制した時のクィーンスプマンテ
2009年エリザベス女王杯を制した時のクィーンスプマンテ(写真左)

 10位にランクインしたのはクィーンスプマンテ。「大波乱のG1」と聞けば真っ先にこの馬が勝利した2009年のエリザベス女王杯を思い浮かべる人も少なくないだろう。それほどまでに、彼女の勝利は衝撃的だった。

 その年のエリザベス女王杯では、同年の二冠牝馬ブエナビスタが単勝1.6倍という圧倒的な支持を集めていた。

 牝馬クラシック戦線で、後方待機から一気の末脚で差し切るというスタイルを確立していたブエナビスタ。その走りに、他陣営の意識は完全に向けられていた。

 だが、テンから飛ばしたクィーンスプマンテとテイエムプリキュアの2頭は違った。牽制しあう人気各馬を尻目に気持ち良くマイペースで進めると、1000m地点では後続に20馬身近い差をつけるふたり旅。

 それほどの逃げを見せながら通過タイムは60秒5とスローペース寄りで、逃げた2頭にとっては勝負所でも全くペースが落ちない楽な展開だった。

 異変に気付いたブエナビスタが坂の下りで真っ先に動いたが、すでにその時点で先頭の2頭は4コーナーの出口へ差し掛かっていた。

 直線、クィーンスプマンテがテイエムプリキュアを突き放し、そのまま粘り込むかと思われた。

 そこでようやくブエナビスタが上がり3ハロン32秒9の末脚で突っ込んできたが、クビ差の3着まで追い上げるのが精一杯だった。

 3ハロン目から7ハロン目までクィーンスプマンテは一貫して12秒2~12秒3のラップを刻み、勝負所で一気にギアを上げている。

 大逃げを打った馬にこの競馬をされては、後ろの馬は成すすべがない。圧倒的1番人気が3着に敗れたことで、3連単は154万円を超える大波乱となった。

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