【菊花賞 有力馬診断】◎・△候補を徹底分析!神戸新聞杯を好走したエリキング、ショウヘイの評価は?
10月26日、京都競馬場にて行われるG1・菊花賞に向けて、『競馬の教科書(オーパーツ・パブリッシング)』の著者・玉嶋亮がXアカウントで有力馬の評価を行っている。この記事では、◎候補と△候補に分けて各馬を分析し、レースの行方を占う。
※以下の◎と△の候補は、枠順確定前の見解である。枠順トラックバイアスで印は大きく変わる。
◎候補馬(軸候補)
エネルジコ
まず、青葉賞から無敗で古馬重賞に挑戦し、史上空前のハイレベルなメンバー構成であった新潟記念で2着にまとめたのは立派である(1着シランケド、3着ディープモンスター)。
デビューからのパーフェクト戦歴に疵が付いてしまったが、パーフェクト連対は継続することになる。先行きは明るいと言って良い。
その上で。。。
スタート直後はシランケドの近くからポジションを押し上げて、道中で4,5番手の先行ポジションに取り付いたのは、スローから32秒台の上がり勝負になったことを考えると、ロスがあったというよりは、ルメール騎手の好判断かつ展開有利だった。
同様の事例には、道中スローだったダービーで4着サンライズアースや、同じく道中スローだったホープフルステークスで3着、弥生賞1着ファウストラーゼンが挙げられる。
道中でポジションを押し上げる所作は、前のポジションへ取り付けるメリットがある一方で、脚を使うデメリットがありトレードオフ。
しかしながら、新潟記念のように道中スローでの上がり勝負になれば、ポジションを先に押し上げるほうが惰性での押し切りを狙いやすく展開有利(次走以降の折り合いが難しくなるが、それはまた別問題として)。
直線では、鋭く末脚を伸ばし2着だったが、切れ味で上回ったシランケドのほうが上であり、到達順位、着差、上がりタイムの通り完敗である。
次に、次走以降のレースレベルにスポットライトを当てて考えたい。古馬相手に無敗でのパーフェクト連対を継続したのは立派であるのは、先述した通り。
一方で、天皇賞秋に挑戦するとなれば、ヴィクトリアマイル等で一線級相手では荷が重そうなシランケドに完敗だった点は看過できない。
天皇賞秋は、史上空前のハイレベルなメンバー構成だった新潟記念ですら霞んでしまうハイレベルな一戦で、最もレベルが高い2000m前後の王道路線でチャンピオンを決めるレースであり、サマーチャンピオンのヴェローチェエラあたりであっても胸を借りる立場である。
したがって、新潟記念で好走したエネルジコに敬意を表しつつも、古馬トップクラスだけでなく、皐月賞、ダービー組のマスカレードボールやミュージアムマイルが立ち塞がるため、やや荷が重そうである。
一方で、今年の菊花賞は逆に、ダービー馬クロワデュノールに加え、先述したマスカレードボール、ミュージアムマイルも不在。つまり、メンバーが手薄である。
そのため、エネルジコが菊花賞に向かう場合は、皐月賞、ダービー好走組と未対戦で比較が難しいことを加味しても、相対的にレベルが低い菊花賞であれば、G1制覇のチャンスがありそうである。
エリキング
ダービーでは、前残りの展開で、上がり最速を叩き出しての5着。負けて強しの内容だった。
2歳のときは、ホープフルステークスと皐月賞で好走したジョバンニを2回に亘り沈めており、3戦3勝。
その後は順調さに欠いてしまったが、神戸新聞杯ではダービーの再現で上がり最速。前にいたショウヘイとジョバンニをスローペースで後ろから捕え完勝。
今年の菊花賞は春クラシック組が不在だが、神戸新聞杯で新星が現れたと言って良い。
これまではスローペースのレースでしか好走経験がなく、ペースが流れたときの対応力だけが懸念点だが、クリアできればG1制覇が見える。
ショウヘイ
京都新聞杯は圧勝したが、クラシック組不在のメンバー構成だったことを考えると、高く評価する必要はない。
一方、ダービー3着の内容を見ると、ワンツーを決めたクロワデュノールとマスカレードボールには完敗だったものの、マイペースで向こう正面から離れた2番手だったサトノシャイニングを交わしての結果で、特筆すべきものがある。
皐月賞の結果は、ジョバンニ、サトノシャイニング、マジックサンズあたりまでは上位入線のミュージアムマイル、クロワデュノール、マスカレードボールあたりと大きな差はないと評した。
それに対し、ショウヘイはサトノシャイニングへ真っ向勝負で先着したということであり、力を示したと言える。
一方、上がり最速で追い込んだエリキングは、前残りで展開不利のダービーを5着まで押し上げたと見れば、ショウヘイとは大きな差がないのもまた事実である。
さらに遡ると、きさらぎ賞ではサトノシャイニング、リンクスティップ、ランスオブカオスらに敗れて4着だったのを見ると、世代の中でトップオブザトップという感じではない。
神戸新聞杯では、スローの前残り展開でもなお、後ろからエリキングに差されてしまい完敗の内容だったのも含め、菊花賞では唯一の春クラシックで馬券に絡んだショウヘイだが、能力断然ではなく、あくまでも優勝候補の一角という評価が妥当である。