天皇賞春秋制覇を成し遂げた馬(4)新たな主役候補が現れた!ディープの引退翌年に春秋連覇
天皇賞の春・秋連覇——。近年の日本競馬においてはローテーションの多様化や馬の適性重視が進み、ますます達成が難しくなっている。だからこそ、過去にその快挙を成し遂げた馬たちの凄みは一層際立つ。この記事では、同一年に天皇賞春と秋を制した5頭の名馬たちにスポットを当て、その偉業を順に紹介していく。今回は4頭目。

④メイショウサムソン(2007年)
続いて紹介するのは、メイショウサムソン。前年の有馬記念を最後にディープインパクトが引退し、芝中長距離路線の確固たる中心が不在と思われた2007年。 そんな中、この路線を引っ張っていくのはメイショウサムソンだと感じさせられる天皇賞春秋制覇であった。
前年の皐月賞を6番人気の伏兵ながら制すると、続くダービーも勝利して春2冠を達成。3冠を目指した菊花賞では4着に敗れ、続くジャパンカップと有馬記念でもディープインパクトの6着と5着に敗戦を喫するも、年明け初戦の大阪杯を勝利して迎えた、天皇賞(春)。
菊花賞の敗戦から長距離適性を疑問視する声もあったことで、2番人気。しかしレースでは、中団追走から早めに進出して4角先頭という強気な競馬となった。
さすがに最後は内外から詰め寄られたが、伏兵エリモエクスパイアの追撃をハナ差抑えて勝利。スタミナも兼ね備えていることを、自らの走りで証明してみせた。
続く宝塚記念でアドマイヤムーンの2着に敗れた後は、これまで全18戦で手綱を執ってきた石橋守騎手に替わって、武豊騎手を主戦へと迎える。
ディープインパクトの引退でこの路線にお手馬のいなかった名手とのコンビで、天皇賞(秋)へと出走。横に広がった争いを逃げ馬の内から抜け出して、2着のアグネスアークに2馬身半差をつける快勝。史上4頭目となる、天皇賞春秋制覇を達成した。
翌年まで現役を続けたが、この天皇賞(秋)が最後の勝利。春秋ともに2着馬が重賞未勝利馬ということもあって地味な印象もあるメイショウサムソンだが、春のクラシック2冠+天皇賞春秋制覇は間違いなく大偉業である。
【了】
(文●中西友馬)
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