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白毛馬を語るならこの血統!華麗なるシラユキヒメ一族(2)9歳まで現役のタフネス!芝・ダート二刀流のヤッコ兄さん

text by 小早川涼風

2025年8月時点で、日本競馬のサラブレッドには46頭の白毛馬が登録されている。そのうち半数以上を占めるのが、「シラユキヒメ一族」である。一族のG1級勝利は5勝と大活躍で、白毛馬以外でもメイケイエールやママコチャなどの重賞馬も輩出している。今回は、そんなシラユキヒメ一族から5頭を取り上げて順に紹介する。今回は2頭目。

2022年函館記念を制したハヤヤッコ
2022年函館記念を制したハヤヤッコ

②ハヤヤッコ

 シラユキヒメの6番仔として産まれたマシュマロ。姉と同じように関東オークスにも出走したが4着に終わり、重賞を制覇するのは叶わなかった。そのマシュマロが初年度にキングカメハメハとの間にもうけた仔が、ハヤヤッコである。

 初勝利は芝で挙げたハヤヤッコだが、3戦目のアイビーステークスで着外に敗れたことをきっかけにダート路線へ転向。以後は入着を繰り返し、3歳の夏、レパードステークスで初めての重賞に挑む。

 ここではUAEダービーにも出走したデルマルーヴルなどのライバルもおり、ハヤヤッコの評価は15頭立て10番人気と高くはなかった。

 しかしレースではその評価を覆すかのように、後方から一気に脚を伸ばす。勢いそのままに抜け出したデルマルーヴルをゴール前で捉え、白毛馬によるJRA重賞初制覇の偉業を成し遂げた。

 彼の凄さはここから。6歳の春に芝へ再転向すると、その年の7月には函館記念を制覇。芝とダート、両方で重賞を勝った白毛馬となったのである。

 さらに、8歳の秋にはアルゼンチン共和国杯を勝利し重賞3勝目を挙げたが、このレースで彼が記録した走破時計2分29秒0は、従来のレースレコードをコンマ9秒も上回ったもの。

 「老いて益々盛ん」という言葉がこれほど似合う馬もなかなかいないのではないだろうか。

 残念ながらラストランとなる目黒記念で負った怪我により乗馬や種牡馬としての道は絶たれてしまったが、すでに苫小牧のノーザンホースパークに功労馬として入厩。北の大地で第二の馬生をスタートさせている。

【了】

(文●小早川涼風)

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