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白毛馬を語るならこの血統!華麗なるシラユキヒメ一族(1)馬券も飛ぶように売れ…驚異的な人気の名牝

text by 小早川涼風

2025年8月時点で、日本競馬のサラブレッドには46頭の白毛馬が登録されている。そのうち半数以上を占めるのが、「シラユキヒメ一族」である。一族のG1級勝利は5勝と大活躍で、白毛馬以外でもメイケイエールやママコチャなどの重賞馬も輩出している。今回は、そんなシラユキヒメ一族から5頭を取り上げて順に紹介する。今回は1頭目。

2008年関東オークスを制した時のユキチャン
2008年関東オークスを制した時のユキチャン

①ユキチャン

 シラユキヒメの第3仔として産まれたユキチャン。兄であるホワイトベッセルがJRAにおける白毛馬の初勝利を飾った3か月後にデビューした。

 その初戦は向こう正面での不利もあって14着に終わるものの、休養を挟んで出走した2戦目で見事に1着。続くミモザ賞も連勝して、一気にオークスの惑星候補に名乗りを挙げた。

 だが、トライアルのフローラステークスで7着に終わり、本番は賞金不足で除外。それならと陣営が照準を見定めたのが、川崎競馬場で行われる関東オークスだった。

 当時、まだまだ珍しい白毛馬であるユキチャンの出走で、川崎競馬場には彼女をひと目見たいというファンが大勢訪れた。その来場者数は交流Jpn1である川崎記念の倍以上。

 当然、馬券も飛ぶように売れ、売上は関東オークス史上最高となる4億3884万円を記録した。そのうちの32万円はこの日限定で設置された「ユキチャン単勝専用窓口」のものであることからも、ユキチャン人気のすさまじさが分かる。

 それほどの注目度があってもレースでの人気は2番人気。未勝利戦以来となるダート戦に加え、これまで出走したレースでは最長となる2100m戦や、中央と違う地方のナイター競馬に対応できるかという疑問の声もあった。

 ところが、いざレースがスタートするとユキチャンは好スタートから2番手につけ、1周目のゴール坂前で先頭に。その後は後続に1度も先頭を譲ることなく、2着のプロヴィナージュに8馬身差をつけて優勝。

 勝ちタイム2分14秒7は当時のレースレコードという完勝劇で、日本競馬では史上初の白毛馬による重賞競走勝利を達成した。

 競走生活の晩年は船橋に移籍し、交流重賞を2勝する活躍を遂げたユキチャン。母としても羽田盃を制したアマンテビアンコを送り出し、孫には重賞6勝を挙げたメイケイエールがいる。

 そして、ユキチャンを皮切りに、シラユキヒメ一族は徐々にその頭角を現していった。ユキチャンは間違いなく、一族繁栄の礎を作った名牝である。

【了】

(文●小早川涼風)

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