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【東大流・次世代スター発掘】9月13~15日2歳戦レビュー。ラスト2F10秒台!ライヒスアドラー★5

text by 鈴木ユウヤ

2025年9月16日2歳新馬を制したライヒスアドラー
2025年9月16日2歳新馬を制したライヒスアドラー

東京大学卒の競馬ライター・鈴木ユウヤが、来年のクラシックを見据えて2歳の有望株を発掘していく連載。今回は9月13~15日に出走した2歳馬のうち、内容がよかった馬、話題になった馬をピックアップ。歴代のタイムやラップとも比較しながら評価する。

【評価の目安】
★7:GⅠ確定レベル
★6:GⅠレベル
★5:重賞レベル
★4:OPレベル
★3:水準レベル
★2:やや物足りない
★1:物足りない

9月13~15日の2歳戦レビュー

◆ノースミソロジー

9月13日 未勝利 阪神ダ1800m 1着
評価:★★★★
騎手:菱田裕二
厩舎:栗東・岡田稲男
父:ニューイヤーズデイ
母:レジェンディスト
母の父:エンパイアメーカー

《短評》
 内から主張する2頭をスピードの差で制して先頭へ。道中は後続を引き付けて逃げ、残り600mを切ったあたりから徐々に再加速。最後はカムアップローゼスに迫られたが、クビ差でなんとか押し切った。

 見た目はさほど目立たなかったが、勝ち時計1:54.7はなかなか速く、ラスト12.5-12.4の加速ラップでもあった。2代母パーソナルレジェンドからはローマンレジェンドやミラクルレジェンドが出ている砂の良血馬。OPでの活躍に期待がかかる。

◆ラブルラウザー

9月14日 未勝利・牝 阪神ダ1400m 1着
評価:★★★★★
騎手:川田将雅
厩舎:栗東・大久保龍
父:パイロ
母:ポピュリズム
母の父:ダイワメジャー

《短評》
 パイロ産駒ながら芝でも3着、4着と結果を出し、今回が満を持しての初ダートだった。先行2頭から少し離れた外3番手で砂を被らずに運び、直線は残り300mで早々と先頭に立つ。そこからは後続を突き放す一方で、終わってみれば7馬身差の圧勝となった。

 勝ち時計1:24.0は前週に行われたマグナヴィクトルの新馬(稍重)より0.6秒速く、ラスト2Fも12.6-12.4の加速ラップだった。牡馬ならいざしらず、牝馬でこれだけのパフォーマンスはなかなか見られない。

 阪神ダ1400mの2歳戦、良馬場、牝馬が勝ったレースというくくりでは史上最速のタイムだった。順調にいけば牝馬の交流重賞戦線に顔を出してくる。

◆ダイヤモンドノット

9月14日 未勝利 阪神芝1400m 1着
評価:★★★★
騎手:川田将雅
厩舎:栗東・福永祐一
父:ブリックスアンドモルタル
母:エンドレスノット
母の父:ディープインパクト

《短評》
 好スタートからインの4番手を追走。直線に向くところで自然とスペースができ、スムーズに抜け出して危なげなく後続を突き放していった。

 勝ち時計1:20.7は当コースの2歳戦で史上5位タイの好記録。時計が出る馬場を加味しても上々のパフォーマンスだった。2か月の間隔と+10キロで一気に良化。短距離路線でコツコツ稼ぎそうだ。

◆ライヒスアドラー

9月14日 新馬 中山芝1800m 1着
評価:★★★★★
騎手:佐々木大輔
厩舎:美浦・上原佑紀
父:シスキン
母:クライリング
母の父:ハーツクライ

《短評》
 好スタートを切ったが、逃げるのを嫌うようにガッチリ抑えて2番手。1コーナーでは逃げ馬が外に膨れてくる不利もあった。そのまま2番手で直線に向き、鞍上のゴーサインが出ると脚の回転が一気に上がって突き抜け、ラスト100mほどは流しながら3馬身半差の快勝となった。

 1000m通過65.9秒という超スローペースで、全体時計が遅いのは当然の結果。ラスト10.8-10.9のキレ味は目立った。中山芝でラスト2Fどちらも10秒台だったのはシックスペンスのスプリングSとエタンダール(青葉賞2着馬)の山吹賞だけ。

 GⅠへの展望はもう少し底力の問われる展開を経験しないことには何とも言えないが、少なくとも重賞通用レベルのポテンシャルはあるだろう。楽しみな素材だ。

◆ウェイニースー

9月14日 新馬 阪神ダ1800m 1着
評価:★★★★★
騎手:川田将雅
厩舎:栗東・中内田充
父:Into Mischief
母:Cariba
母の父:Cairo Prince

《短評》
 ゲートは出遅れ気味だったが、二歩目以降は自らスピードに乗っていった。砂を被る位置に入ってもひるむ素振りはなく、手応え優勢に3~4角で前を呑み込んでいき、直線は多少右にモタれる面を見せながらも軽々と差を広げていった。最終的に7馬身の着差がついた。

 勝ち時計1:55.2もまずまず速いが、さらにラスト1F12.3という数字も組み合わせてみると優秀さが際立つ。阪神ダ1800mの2歳戦、良馬場で「1:55.5以下」かつ「ラスト1F12.3以下」を満たしたのは過去6例あって5頭がのちのOP馬(クロスクリーガー、タガノディグオ、バーデンヴァイラーは重賞勝ち馬)。

 稍重を含めるとゴールドドリームやオーサムリザルトも該当する。こちらも重賞級の★5と評価しておく。主場での開催が再開したからか、この2週間は全体的に豊作だった。

【了】

(文●鈴木ユウヤ)

<プロフィール>
鈴木ユウヤ(@ysuzuki_keiba)
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。「ワイド1点買い」の使い手。2024年の中央GⅠで回収率130%を達成。

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