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【東大流・次世代スター発掘】大差圧勝マグナヴィクトルら、「重賞級」★5が6頭の大豊作!

text by 鈴木ユウヤ

2025年9月7日2歳新馬を制したフォルテアンジェロ
2025年9月7日2歳新馬を制したフォルテアンジェロ

9月6、7日の2歳戦レビュー

東京大学卒の競馬ライター・鈴木ユウヤが、来年のクラシックを見据えて2歳の有望株を発掘していく連載。今回は9月6~15日に出走した2歳馬のうち、内容がよかった馬、話題になった馬をピックアップ。歴代のタイムやラップとも比較しながら評価する。

【評価の目安】
★7:GⅠ確定レベル
★6:GⅠレベル
★5:重賞レベル
★4:OPレベル
★3:水準レベル
★2:やや物足りない
★1:物足りない

◆カラペルソナ

◆トワニ
9月6日 未勝利 中山芝1600m 1着
評価:★★★
騎手:菅原明良
厩舎:美浦・蛯名正義
父:リオンディーズ
母:イニシャルダブル
母の父:ウォーエンブレム

《短評》
 やや出遅れ気味で序盤は後方待機。未勝利戦にしては前が飛ばして縦長の馬群となり、4角までにあまり外を回さずに済んだ。直線は先んじて抜け出した2着ロイヤルスパイアを目標に脚を使い、最後は1.3/4馬身抜けて快勝となった。

 この日は開幕週で、メインの京成杯AHでは1:31.3という時計が出るなど、台風の影響をまるで感じさせない高速馬場ではあった。とはいえ勝ち時計1:34.0は過去10年の当コース2歳未勝利としては5番目に速いタイム。水準以上の好内容といえる。

◆マグナヴィクトル

9月6日 新馬 阪神ダ1400m 1着
評価:★★★★★
騎手:川田将雅
厩舎:栗東・中内田充
父:Maxfield
母:Eyeinthesky
母の父:Sky Mesa

《短評》
 ゲートの一歩目はあまりよくなかったが、そこから抑えきれない感じで上がっていって自然とハナへ。直線も鞍上はほとんどアクションを起こしていないが、後続がみるみる離れていき、2着に1.8秒差をつけて大差圧勝デビューとなった。

 勝ち時計1:24.6も文句なしに優秀で、阪神ダ1400m(旧コース時代含む)の2歳戦、良~稍重というくくりでは史上7位タイ。先例にあたる6頭はいずれも後のOP馬で、ストーンステッパー、ユートピア、イイデケンシン、エンペラーワケアと4頭の重賞馬も含まれている。

 さらにラスト2Fを12.0-12.1でまとめており、こちらも重賞レベルの能力を持っているのは間違いない。将来有望だ。

◆リリージョワ

9月6日 新馬 札幌芝1500m 1着
評価:★★★★
騎手:浜中俊
厩舎:栗東・武幸四郎
父:シルバーステート
母:デサフィアンテ
母の父:キングカメハメハ

《短評》
五分のスタートから4番手の外目でスムーズに追走。3~4角は手応えよく前との差を詰めていき、直線入り口で早々と先頭に。若干右にモタれる面も見せたが、最後は流す余裕もあって3馬身半差の完勝となった。

勝ち時計1:29.4は今夏の札幌芝1500mの2歳戦としてはポペットの新馬戦に次ぐ2番時計(0.1秒差)。ペースの差があるとはいえ、開催が進んで当時より時計のかかる馬場になっていたことを思えば上々のタイムだ。

 近親にはヴェラアズールやアヴェンチュラ、トールポピーらがいるアドマイヤサンデーの牝系出身。クラスが上がってもいい走りができる

◆アルデトップガン

9月6日 新馬 中山ダ1200m 1着
評価:★★★
騎手:菅原明良
厩舎:美浦・田中剛
父:ナダル
母:フクシア
母の父:ゴールドアリュール

《短評》
 ゲートはアオって後方から。道中はキックバックを気にして頭を上げる素振りも見せていた。それでも根気強く促されて4角あたりでようやくエンジンがかかり、残り200mで先頭まで5~6馬身はあったかという差を一気に詰めて差し切った。

 勝ち時計1:12.5自体は取り立てて優秀というほどでもないが、このコースの稍重・2歳新馬としては上位の部類。次位の馬より0.8秒速い上がりを使った点や、砂被りから差す経験を積めた点など、次もっとよくなりそうな勝ち方でもあった。

◆カクウチ

9月7日 未勝利 阪神芝1600m 1着
評価:★★★★
騎手:岩田望来
厩舎:栗東・小崎憲
父:アドマイヤマーズ
母:トウカイファイン
母の父:フレンチデピュティ

《短評》
 新馬戦は宝塚記念当日のサレジオが勝ったレースで6着だった馬。2戦目は差しに回って上がり最速。当連載でクールデイトナを取り上げた際に「4着カクウチも近いうちに勝ち上がれそう」と評した。

 3戦目となった今回は好スタートから軽く促して先行。逃げ馬の後ろに収まりそうな流れだったが、その逃げ馬が外にヨレたのを受けてハナに立った。手応え十分に直線へ向くと後続を早々に突き放し、最後は差を詰められながらも1馬身差で押し切った。

 開幕週で速い時計が出る馬場ではあったが、それでも1:33.9は上々のタイム。阪神芝1600mの2歳戦だと、朝日杯FSや阪神JFならこのくらいの時計も珍しくないが、重賞を除けば全9例しかない。昇級してもコツコツと稼いでいきそうだ。

◆ドンエレクトス

9月7日 未勝利 中山ダ1200m 1着
評価:★★★★★
騎手:菅原明良
厩舎:美浦・高木登
父:ダノンレジェンド
母:ドナプリモ
母の父:フリオーソ

《短評》
 新馬戦は当連載で★5を出したキーンセンスの2着。ラスト12.6-12.2の加速ラップに食らいつき、この馬も後続は8馬身離す好内容だった。2戦目の今回は芝発走の外枠を利して外の3番手を先行。

 直線は逃げたコパノトーマスとの一騎打ちになり、残り100m地点で捕まえると、最終的には2馬身半までリードを広げた。

 勝ち時計1:12.0は稍重だった前日アルデトップガンを0.5秒上回るもの。当コースの良馬場の2歳戦としても平均レベルはしっかり超えていた。インパクト絶大だった初戦に比べると、ベタ褒めするほどの数字ではないが、前走のぶんをおまけして★5と判定しておく。

◆キッコベッロ

9月7日 新馬 阪神芝1800m 1着
評価:★★★★
騎手:川田将雅
厩舎:栗東・友道康夫
父:Study of Man
母:アマダブラムⅡ
母の父:Scat Daddy

《短評》
 6頭立ての少頭数。ゲート自体はそこまでよくなかったが、この頭数とあって特に問題にならなかった。道中は前2頭から5馬身ほど離れた3番手を追走。直線は外からしっかり伸びて差し切った。

 勝ち時計1:47.5は当コースの2歳新馬戦としては4位タイ。開幕週の高速馬場を考慮してもなかなかの好記録といえる。レースラップもラスト11.3-11.3-11.3と最後まで減速していなかった。上を目指せる好素材だ。

◆フォルテアンジェロ

9月7日 新馬 中山芝1800m 1着
評価:★★★★★
騎手:戸崎圭太
厩舎:美浦・上原佑紀
父:フィエールマン
母:レディアンジェラ
母の父:Dark Angel

《短評》
 スタートは五分。序盤は5~6頭が横に広がった先行争いから一列控える形で好位のインにつけた。道中は引っかかることもなく、それでいて手応えよく追走。直線入り口では前が塞がって追い出しを待たされたが、空いてからは瞬時に反応して差し切った。

 数字以前に抜群のセンスを感じる勝ち方だったが、レースラップもラスト11.3-11.0と高いレベルで加速している。中山芝1800mの2歳戦、決着が1分50秒を切ったレースのなかで、ラスト2F22.3秒は史上最速タイ、ラスト1F11.0秒は単独で史上最速だった。

 馬場が非常に速かったこと、例年この時期の中山は加速ラップが出やすいことを考慮する必要はあるが、悠に重賞級と判断していいだろう。GⅠでも出番があるかもしれない。

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