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馬券に役立つ?重賞なら武豊、少頭数なら横山典弘…イチかバチか“追い込み”戦法で買える騎手5選

text by 中川大河

 競馬の予想をする上で、重要なファクターの一つが展開と脚質だ。基本的にスローペースだと逃げ、先行馬が有利、ハイペースだと差し、追い込み馬が台頭しやすいとされる。

 JRAの公式データを分析できる競馬データベースソフト『TARGET frontier JV』、(以下、ターゲット)では、各レースにおける脚質を「逃げ」「先行」「差し」「追い込み」「マクリ」の5つに分類。判断が難しい、「差し」と「追い込み」を以下のように定義している。

 差しは「先行集団からあまり離されずに追走してチャンスをうかがう脚質」、追い込みは「後方に待機して前半はスタミナや末脚を温存して後半勝負にかける脚質」(https://jra-van.jp/fun/baken/index11.html)。

 レースで最も盛り上がる戦法の一つが「追い込み」だろう。時に直線大外一気や、最後方からのイン突きは競馬の醍醐味ともいえるだろう。

 そんな「追い込み」の戦法を得意としている騎手は誰か。芝、ダートなど5つの条件に分けて、それぞれのレースで最も“買える”騎手を選んだ。基準としたのは単勝回収率もしくは複勝回収率で、期間は2020年以降の平地レース、ターゲットの脚質分類で「後方」に分類された馬に絞った。

田辺裕信騎手
田辺裕信騎手

①田辺裕信

~芝なら通算1200勝超えのこの男~

 2020年以降の芝で行われた全平地競走における追い込み馬の勝率は2.0%、複勝率も7.6%に留まる。後述するダートレースに比べればまだ高いが、やはり後方待機組は物理的に“届かない”ことが多い。また、レースの流れについていけない馬も追い込みに分類されることも大きい。芝レースで存在感を発揮しているのが、後方待機策のイメージがあまりない田辺裕信騎手だ。

 騎手生活24年目を迎えた田辺騎手は20年以降の「芝×追い込み」で勝率5.5%、複勝率15.9%をマークしている。上位人気馬への騎乗がそれほど多くない中でこの数字は及第点以上といえるだろう。

 単複の回収率を見ても74%と61%で、どちらも60%を超えている。これは短期免許で来日した外国人ジョッキーや引退した騎手を除けば田辺騎手だけで、勝利数(29勝)は、C.ルメール騎手(40勝)と武豊騎手(34勝)に次ぐ多さである。

 また、G2とG3で追い込んだ時は【3-2-1-64】とたびたび馬券に絡んでいる。アサマノイタズラとコンビを組んだ2021年セントライト記念を、4角後方2番手から豪快に差し切ったシーンを覚えているファンも多いだろう。

 これまでのG1・3勝(コパノリッキー=14年フェブラリーS、ロゴタイプ=16年安田記念、アスクビクターモア=22年菊花賞)は、全て逃げか先行策で挙げている田辺騎手。芝のレースに限れば、追い込み馬に騎乗していた時は馬券的に押さえておいて損はないだろう。

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