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ある日突然、怪物へと変貌…ガチ“覚醒”を遂げた名馬 (3)何があったの…?5歳に「全てをおいてきた」名馬

text by 中西友馬

競走馬の成長曲線は十馬十色。早くから頭角を現す馬もいれば、時間をかけて力をつける馬もいる。その中で稀に「覚醒」という言葉がふさわしいほど、途中から一気に飛躍し、怒涛の勢いでG1タイトルまで手にする馬が現れる。今回は、そんな「覚醒」を遂げた5頭を厳選し、それぞれの歩みについてじっくりと紹介する。今回は3頭目。

2015年天皇賞(秋)を制した時のラブリーデイ
2015年天皇賞(秋)を制した時のラブリーデイ

③ラブリーデイ

 続いて紹介するのは、ラブリーデイ。デビューから連勝で野路菊Sを勝利。京王杯2歳Sでも2着に入って賞金を加算するなど、2歳時から活躍を見せていた。しかし、春のクラシックでは皐月賞15着、ダービー7着と、結果を残せなかった。

 その後も惜敗こそあるものの、重賞未勝利で迎えた、5歳シーズン。ラブリーデイは突如「覚醒」する。

 初コンビのフランシス・ベリー騎手に導かれ、中山金杯で重賞初制覇を飾ると、続く京都記念では、ハープスター、キズナの2強を撃破して重賞連勝。その後の2戦は距離が長く凡走となったが、鳴尾記念で重賞3勝目。

 そして迎えた宝塚記念。結果を先に言ってしまうと、ラブリーデイはこのレースでG1初制覇を飾るわけだが、世間ではこのレースは、「ラブリーデイがG1初制覇を果たしたレース」ではなく、「ゴールドシップが大出遅れしたレース」という印象のほうが強いだろう。

 このレースの映像は何度も見ているはずなのに、金子真人オーナーの勝負服2頭が先頭争いをしている画は浮かばず、ゴールドシップがゲートの中で立ち上がっている画が浮かぶ人が多いのではないだろうか。

 そんな不遇のラブリーデイではあるが、「覚醒」は本物。秋にも京都大賞典と天皇賞(秋)を連勝し、この年のJRA賞最優秀4歳以上牡馬に選出された。

 年始の中山金杯から始まった、5歳シーズンだけでG1・2勝を含む重賞6勝。まさに覚醒の1年であった。

【了】

(文●中西友馬)

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