もはや反則級…2着との差がケタ違いすぎる【後続を絶望させた異次元の圧勝劇 5選】
競馬では、2000m先のゴールでハナ差の決着になることもあれば、同じ位置からスタートしたとは思えないほどの着差がつくレースもある。特に重賞では、互いに実力があるのに、一方が相手を圧倒する姿は強烈なインパクトを残す。そこで今回は圧勝経験のあるG1馬に注目。印象的な勝ち方をした5頭をピックアップして紹介する。
①ホクトベガ
~1995年 エンプレス杯~
最初に紹介するのは、「ベガはベガでもホクトベガです!」の実況でお馴染みのホクトベガ。競馬チャンネルでインタビューをさせていただいた、加藤和宏騎手(現調教師)の騎乗で、エリザベス女王杯を勝利した馬である。
もちろん芝のG1馬ではあるのだが、ホクトベガといえばダートの印象もかなり強い。それこそダートのレースは圧勝続きだったわけだが、そんなホクトベガの“圧勝”レースは、ダート重賞10連勝の皮切りとなった、1995年のエンプレス杯である。
地方・中央の両馬が出走することのできる交流競走が始まり、いわゆる「交流元年」と呼ばれる1995年。その中でエンプレス杯は、唯一となる牝馬限定の交流競走であった。
ただ、交流競走と言っても7頭立ての少頭数で行われ、ホクトベガ以外は全馬地方競馬所属というメンバー構成。それでも同舞台の関東オークスやロジータ記念を制していたケーエフネプチュンや、同年のダイオライト記念覇者アクアライデンなど、少頭数ながら地方の有力牝馬が出走していた。
田んぼのような不良馬場で行われたレースは、序盤こそケーエフネプチュンがハナを切るも、1周目の4角でホクトベガが前へと並びかけると、ケーエフネプチュンと人気2頭の並走が続く。
しかしその並走も、2周目の向正面ではスピードの違いでホクトベガが前に出る。ケーエフネプチュンは早くも苦しくなり、アクアライデンが2番手へと浮上。しかしホクトベガは、その遥か前で持ったまま。
直線は完全な独走状態で、最終的には後続に「3秒6」もの差をつける圧勝であった。大差の2着にアクアライデンが入り、そこから7馬身差の3着がケーエフネプチュンとなった。
勝ったホクトベガは、このレースからダート交流重賞10連勝を飾り、「砂の女王」と呼ばれた。遠いドバイの地で悲運の最期を遂げる形となってしまったが、今でもダート最強馬論争に登場するほどの強さを見せていたホクトベガ。推定18馬身もの差をつけたエンプレス杯の衝撃は、競馬ファンの記憶の中に強く焼き付いている。