HOME » セレクト » 令和のスティールハートは?「早熟型」種牡馬ランク【第2位】2歳時はエグイのに…だが早熟とするにはまだ早い

令和のスティールハートは?「早熟型」種牡馬ランク【第2位】2歳時はエグイのに…だが早熟とするにはまだ早い

text by 中川大河

2023年に生まれた2歳馬が走り始めて2か月半が経過した。10日までにJRAで勝ち名乗りを上げた107頭の中には、すでにクラシック候補と呼ばれる逸材もいる。来春に向けて順調に成長を遂げる馬もいれば、結果的に2歳時がピークだったという“早熟馬”もいるだろう。

そこで今回はどの種牡馬の産駒が2歳戦で好成績を残しているかを調査。2歳時と3歳以降の勝率を比較し、2歳の時により突出した成績を残していた5頭の種牡馬を、ランキング形式で紹介したい。

“ダビスタ世代”の筆者にとって早熟種牡馬といえばスティールハートが真っ先に思い浮かぶ。果たして“令和のスティールハート”と呼ぶにふさわしいのはどの種牡馬となるか。今回は第2位。

■調査条件(JRAに限る)
・対象期間:2019年5月~2025年8月10日
・対象種牡馬:現2歳世代に産駒がいる馬
・条件①:産駒が2歳戦で計100回以上出走している
・条件②:2歳戦の勝率が10%以上である

2020年アーカンソーダービーを制したナダル (Photo by Wesley Hitt/Getty Images)
2020年アーカンソーダービーを制したナダル (Photo by Wesley Hitt/Getty Images)

第2位 ナダル

勝率差=8.6%(2歳時勝率=21.1%、3歳以降勝率=12.5%)

 アメリカで現役時代を過ごしたナダルも2歳戦で突出した成績を残している。自身はケガのため2歳時にデビューできなかったが、3歳の春に未勝利戦で初陣を飾ると、その後にG2を2連勝。さらにアーカンソーダービーを制し、デビュー4連勝でG1馬に上り詰めた。

 その後も活躍を期待されたナダルだったが、骨折のため3歳の春に早々と引退が決定。翌年の2021年から社台スタリオンステーションで繋養されている。

 初年度産駒は2024年にデビューすると、6月に10戦3勝とロケットスタートに成功。その後も順調に勝利を重ね、これまで走った2世代で44頭が58勝を挙げている。

 最大の特徴はやはりダートでの強さ。勝ち鞍の内訳は、芝の3勝に対して、ダートで55勝と大きな差がついている。ただし、距離適性は芝とダートで異なっており、芝で走った産駒は1600m以上で【0-1-0-29】と大苦戦。一方、ダートだと1700m以上の距離で好成績を残している。

 最も総賞金を稼いでいる産駒はクレーキング。ダート1400mでデビューしたが、ユニコーンSと東京ダービーで連続2着するなど、中距離適性を見せており、今後が楽しみな存在だ。

 他には芝で惨敗続きだったメルキオルがブルーバードCを勝つなどダートで3戦3勝と底を見せていない。また、プロミストジーンなど3頭が2勝クラスを突破し、この夏にオープン入りを見据えている。

 3歳になってから勢いが衰えたという印象はないが、ナダル自身が3歳時の短期間でしか走っていないため、早熟かどうかの判断がつきづらい部分もある。現3歳馬の活躍次第で、早熟型から成長型へとイメージを大きく変える可能性は十分ある。

【了】

(文●中川大河)

【関連記事】
令和のスティールハートは? 「早熟型」種牡馬ランキング【全紹介】
令和のスティールハートは? 「早熟型」種牡馬ランキング【第1位】
令和のスティールハートは? 「早熟型」種牡馬ランキング【第3位】