“令和のスティールハート”はこの馬だ!産駒は2歳で才能開花…「早熟型」現役種牡馬トップ5
2023年に生まれた2歳馬が走り始めて2か月半が経過した。10日までにJRAで勝ち名乗りを上げた107頭の中には、すでにクラシック候補と呼ばれる逸材もいる。来春に向けて順調に成長を遂げる馬もいれば、結果的に2歳時がピークだったという“早熟馬”もいるだろう。
そこで今回はどの種牡馬の産駒が2歳戦で好成績を残しているかを調査。2歳時と3歳以降の勝率を比較し、2歳の時により突出した成績を残していた5頭の種牡馬を、ランキング形式で紹介したい。
“ダビスタ世代”の筆者にとって早熟種牡馬といえばスティールハートが真っ先に思い浮かぶ。果たして“令和のスティールハート”と呼ぶにふさわしいのはどの種牡馬となるか。
■調査条件(JRAに限る)
・対象期間:2019年5月~2025年8月10日
・対象種牡馬:現2歳世代に産駒がいる馬
・条件①:産駒が2歳戦で計100回以上出走している
・条件②:2歳戦の勝率が10%以上である
第5位 エピファネイア
勝率差=5.6%(2歳時勝率=13.0%、3歳以降勝率=7.4%)
5位にランクインしたのは、令和の2歳戦で種牡馬別最多となる182勝を挙げているエピファネイアだ。現2歳馬が7世代目で、サートゥルナーリアらに比べるとデータも積み重なっているため、産駒に早熟傾向があることは否めない。
エピファネイア自身は現役時代にデビュー3連勝でラジオNIKKEI杯を勝利したように2歳時から高い完成度を誇っていた。ところが、3歳春は惜敗が続き、早熟説も持ち上がった。
復調を遂げたのは3歳の秋。神戸新聞杯で9か月ぶりの勝利を挙げると、菊花賞を5馬身差で圧勝し、牡馬クラシック最後の1冠を手にした。その後は再び成績を落としたが、4歳秋にジャパンCを4馬身差で快勝。5歳の夏に引退し、2016年シーズンに種牡馬入りしている。
初年度からデアリングタクトという無敗の三冠牝馬を出したエピファネイア。翌年にはエフフォーリアが皐月賞、天皇賞・秋、有馬記念を制覇し、その後もサークルオブライフ、ダノンデサイル、ブローザホーンなどのG1勝ち馬を輩出している。
ただ、デアリングタクトとエフフォーリアが古馬になってから成績を落としたことで、早熟説が囁かれるようになった。実際に産駒の年齢別勝率を見ると、2歳時の13.0%から3歳時は8.4%、4歳時は7.4%、そして5歳時は3.8%と右肩下がり。そして6歳以降は1.0%と大苦戦している。種牡馬としても同期のキズナの産駒は6歳以降に勝率6.7%を誇っているのとは対照的だ。
ただ、早熟傾向があるといっても、2歳重賞を勝っているのはサークルオブライフ(アルテミスS、阪神JF)のみ。2歳重賞に挑んだ他の53頭は58戦全敗という成績が残っている。現2歳世代にはダノンヒストリーやベレシートといった楽しみな逸材が多い。この中から古馬になっても活躍するような馬が生まれればエピファネイアに対する評価もまた変わってくるだろう。