絶大な影響力!サンデーサイレンス奇跡の血量(4)とにかくエゲツない…恐るべき成長力を持つスタミナ型の血統
競走馬の血統には、偶然とは思えないほど劇的な能力の継承が存在する。「奇跡の血量」と呼ばれるインブリードもそのひとつだろう。今回は、サンデーサイレンスの奇跡の血量を持っており、さらにエピファネイアまたはリオンディーズを父に持つGⅠ馬から5頭ピックアップ。血統表を見ながら特徴をじっくりと紹介する。今回は4頭目。
奇跡の血量とは?
インブリード(近親交配)の際に使われる言葉で、3代前と4代前に同一の馬が存在することで発生するクロスのことを「奇跡の血量」と呼ぶ。日本ではトキノミノルの活躍がこの血統理論に着目されたきっかけといわれており、近年でもオルフェーヴルやレイデオロなど、奇跡の血量を持つ名馬は多い。
④ブローザホーン
父:エピファネイア
母:オートクレール
生年月日:2019年5月10日
性別:牡馬
毛色:鹿毛
調教師:吉岡辰弥(栗東)
未勝利戦を脱出したのは3歳の6月と遅めだったが、そこから急上昇。翌年の夏にはオープン入りし、さらにその次の年の夏にはG1ホースとなっているというのだから、彼の成長力には驚かされるばかりである。
そんなブローザホーンが持つクロスは、デアリングタクトと全く同じもの。ただ、その中でNorthern Dancerのインブリードの内訳だけが若干異なっている。デアリングタクトがSadler’s WellsとDanzigからなるものだったのに対し、ブローザホーンはNijinskyとノーザンテーストの組み合わせ。両者ともにスタミナ型の血統タイプであるため、ブローザホーンが中長距離路線で活躍できているのも納得だ。
更に、成長力に秀でているとされるNijinskyのクロスがプラスに働いたとするならば、3歳の夏以降、急速に力をつけていった彼の成長ぶりも頷ける。加えて、G1初制覇となった宝塚記念で見せたように、道悪も全く苦にしないパワーとスタミナも持つ同馬は、まさにNijinskyとノーザンテーストの“いいとこどり”の馬ではないだろうか。
将来、彼が種牡馬入りするとなった際は、どのような繫殖牝馬と交配がなされるであろうか。個人的にはRoberto系の血を持つ交配でパワーの底上げを狙うか、もしくはノーザンテーストのクロスで無類の長距離巧者を作るような配合を見てみたい気もする。
【了】
(文●小早川涼風)
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