ダービーが終わって、夏競馬が始まるわけではない。ファン投票によって出走馬を選定できる、「グランプリ」宝塚記念が行われる。中長距離のトップホースが阪神競馬場に一堂に会する、上半期の総決算である。そこで今回は、ファン投票1位に応えて宝塚記念を勝利した馬に注目。その中から5頭をピックアップし、紹介していく。

①1993年(勝ち馬：メジロマックイーン)

　最初に取り上げるのは、1993年の宝塚記念。この年ファン投票で1位に輝いたのは、3年連続の1位となるメジロマックイーンであった。
　
　2年前は単勝1.4倍の支持を集めながら、同門とも言えるメジロライアンに敗れて2着。前年はレース1週間前に骨折が発覚し、直前での回避。まさに3度目の正直を期す一戦であった。もちろん1番人気(単勝オッズ1.5倍)に推されていたが、これまた同門対決となる2番人気(単勝オッズ2.7倍)のメジロパーマーとの2強対決とみるファンも多かった。

　レースは、大方の予想通りにメジロパーマーがハナを切り、メジロマックイーンは好位の外めにポジションをとる。最内枠のオースミロッチを除いた10頭は、かなり内側をあけた進路どりで走っていく。レースが動いたのは、残り1000mあたり。逃げるメジロパーマーの外からニシノフラワーが並びかけ、離れた内からオースミロッチも上がっていく形。3角手前でオースミロッチが先頭へと立ち、内外からプレッシャーを受けたメジロパーマーは早々と手ごたえが怪しくなる。代わって上がってきたメジロマックイーンが、内ラチ沿いを通るオースミロッチの直後まで迫り、4角を回って最後の直線へと向かう。

　直線に入ると、内ラチ沿いで粘り込みを図るオースミロッチを、離れた外からメジロマックイーンが交わして先頭。連れて伸びてきたイクノディクタスが2番手へと上がろうとするが、内では懸命にオースミロッチも抵抗する。
　
　しかしそれらの争いを尻目にメジロマックイーンが快勝。最後はイクノディクタスが2番手へと上がり、レースを盛り上げたオースミロッチは半馬身差の3着。メジロパーマーはブービーと大敗した。
　
　勝ったメジロマックイーンは、ファン投票1位と1番人気の支持にこたえて勝利。G1・4勝目を飾った。宝塚記念で3年連続ファン投票1位となったのは、現時点でメジロマックイーンただ1頭のみ。それだけ、人気と実力を兼ね備えた名馬であったといえる。