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「メンツがえぐい!」道営の星やG2の鬼が誕生…セントライト記念の名勝ち馬(5)ジンクスに呪い…未だ破られないのは?

text by 中西友馬

1947年に創設されたセントライト記念は、日本初の3冠馬の名を冠す重賞だ。1995年から菊花賞トライアルとなり、舞台は東京から中山へ移った。距離も変更を重ね、1980年から中山芝2200mに定着している。76年の歴史から、5つの名勝負を選りすぐりを紹介する。

Fenomeno
第66回セントライト記念のフェノーメノ

⑤2012年(勝ち馬フェノーメノ)

 競馬の世界には格言やジンクス、呪いなどと呼ばれるものが数多くあるが、その中のひとつに「青葉賞馬はダービーを勝てない」というものがある。たしかに、重賞に格上げされてからの青葉賞馬のダービーでの成績は、2024年現在で【0.6.2.21】と未だ勝利がない。

 ダービーと同じ東京2400mで行われるダービーTRであるため、毎年重要なステップレースとされており、勝ち馬がダービーに出走すると、毎年上位人気や穴人気になっている。しかし、シンボリクリスエスやゼンノロブロイなど、後の年度代表馬になるような名馬であっても、ダービーでは2着止まりなのである。

 そんな青葉賞馬の中で、最もダービーに近づいた馬が、2012年のセントライト記念を制するフェノーメノであった。

 フェノーメノは、3戦2勝で迎えた皐月賞TRの弥生賞で6着に敗戦。目標を皐月賞からダービーに切り替え、ダービーTRの青葉賞へと出走。1番人気に応えて見事勝利し、ダービーへの優先出走権を獲得した。

 そして迎えたダービーでは、先に抜け出したディープブリランテを目標に末脚を伸ばし、2頭ほぼ並んで入線。青葉賞馬初のダービー馬誕生かと思われたが、写真判定の結果ハナ差の2着に敗戦。鞍上の蛯名騎手にとっても、悲願のダービー制覇まであと一歩届かなかった。

 そんなフェノーメノが、秋シーズン初戦に選択したのがセントライト記念であった。ダービー2着の実績から、単勝2.0倍と少し抜けた1番人気に推され、発走を迎えた。

 レースは、ニューダイナスティがハナを切り、フェノーメノは好位の後ろあたりにポジションを取る。前半1000mの通過は60秒2と、平均やや遅めのペースで進んでいく。しかし、3〜4角の中間あたりでは早くもニューダイナスティの手ごたえは悪く、その外から後続各馬が襲いかかる。前は4〜5頭が横に広がって4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、その争いから抜け出したフェノーメノが、早くも先頭へと躍り出る。馬群の中を割ってダノンジェラート、馬群の外からスカイディグニティが伸びてくるが、最後まで脚いろの衰えなかったフェノーメノが勝利。1馬身差の2着には、外を伸びたスカイディグニティが入った。

 勝ったフェノーメノはその後、菊花賞ではなく古馬相手の天皇賞(秋)へと挑戦。勝利こそならなかったが、エイシンフラッシュの2着に健闘。さらに、古馬になってからは天皇賞(春)連覇を達成した。天皇賞(春)連覇は、メジロマックイーン、テイエムオペラオーに次ぐ史上3頭目の快挙となった。

(文●中西友馬)

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