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エフフォーリア 〜コントレイル、グランアレグリアも撃破。若武者を大きく飛躍させた”早熟の天才”〜

エフフォーリア(Efforia)

エフフォーリアは3歳時に皐月賞制覇から天皇賞(秋)・有馬記念で並みいる古馬を撃破。G1勝利のなかった若手騎手・横山武史に一気に3つのタイトルをもたらした。その勢いを評価され2021年度代表馬にも選出された名馬だ。そんな“早熟の天才”の軌跡を改めて振り返ってみよう。

Efforia

プロフィール

性別 牡馬
エピファネイア
ケイティーズハート
生年月日 2018年3月10日
馬主 キャロットファーム
調教師 鹿戸雄一
生産牧場 ノーザンファーム
通算成績 11戦6勝【6-1-0-4】
獲得賞金 7億7663万円
主な勝ち鞍 有馬記念(2021年)
天皇賞(秋)(2021年)
皐月賞(2021年)
受賞歴 年度代表馬(2021年)
最優秀3歳牡馬(2021年)
産駒成績 産駒デビュー年:2026年(予定)
通算重賞勝利数:0勝
通算G1勝利数:0勝
代表産駒 なし

“瞬間最大風速”は歴史的名馬の域

 エフフォーリアは、2020年8月に札幌競馬場でデビューした。父はジャパンCの勝ち馬エピファネイア、母はダートで3勝を挙げたケイティーズハートという血統であった。レースは3番手から抜け出して勝利。単勝1.4倍の人気に応えて、見事に新馬勝ちを収めた。

 2戦目は秋の東京で行われた百日草特別。札幌戦とは違い、速い上がりが要求される東京でのレースであったが、好位から上がり最速の脚で抜け出して連勝。2歳シーズンを2戦2勝で終えた。

 年が明けて3歳となったエフフォーリアは、出世レースの共同通信杯で重賞に初挑戦する。ここでも、好位から楽に抜け出して重賞初制覇。そしてトライアルは使わず、牡馬3冠第1戦の皐月賞に直行する。

 その皐月賞でも、スッと好位のインに収まった。直線では前が壁になりかけたが、先に先頭に立ったタイトルホルダーの内から抜け出すと、3馬身差をつけて快勝。デビューから手綱を執る横山武史騎手にもG1初勝利をプレゼントした。

 続く牡馬3冠第2戦の東京優駿(ダービー)。皐月賞の快勝を受けて、単勝1.7倍の支持を集めた一戦は、最内枠から中団のインで脚をためると、直線は外に持ち出して残り300mで先頭に立つ。このまま押し切るかと思われたゴール前、エフフォーリアの内を伸びてきたシャフリヤールが並びかけて入線。写真判定の結果、わずか10センチ差でシャフリヤールが勝利。無敗での2冠達成はならなかった。

 夏を経て、秋初戦は3歳馬同士の菊花賞ではなく、古馬相手の天皇賞(秋)を選択。前年に無敗の3冠馬となったコントレイル、短距離・マイルとの3階級制覇を目指したグランアレグリアとの三つ巴戦に注目が集まった。レースは先に抜け出したグランアレグリアを直線半ばで捉えると、追ってきたコントレイルを振り切って勝利した。

 続く有馬記念でも、並み居る古馬勢、菊花賞から参戦してきた3歳勢ともに破って勝利。5戦4勝というほぼパーフェクトな成績で3歳シーズンを終え、3歳にして年度代表馬にもなった。

 年が明けて、4歳となったエフフォーリアの初戦は大阪杯。初の関西圏でのレースが影響したためか伸び切れず、9着に敗れた。さらに続く宝塚記念でも、同期のタイトルホルダーがコースレコードで勝利する中、6着に敗れた。この2戦の敗北から、陣営は時間をかけて立て直すことを決断し、エフフォーリアは長期休養に入る。

 復帰戦は年末の有馬記念となり、連覇をかけての出走となった。レースは3歳馬イクイノックスの完勝となったが、直線で先頭に並びかける見せ場十分の競馬で、復活の兆しを見せる内容での5着であった。

 年が明けて5歳となったエフフォーリアは、京都記念から始動。2番手につける積極的なレースを見せるも、直線では心房細動を発症。ズルズルと後退して競走中止となった。レース後の身体に異常は見られなかったが、協議の結果、現役引退が決まった。

 引退後は、種牡馬入りが決定。初年度は198頭の種付け頭数が集まり、無事ならば2026年にデビュー予定の初年度産駒が、楽しみに待たれる。

(文●中西友馬)

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