「世界に羽ばたくスター候補は?」矢作厩舎、期待の2歳馬たち(5)時を経て…ロマン溢れる1頭、その理由は?
今や競馬ファンなら誰もが知る日本のトップトレーナー・矢作芳人師。2020年から2024年の5年間でも無敗三冠の達成やサウジカップ勝利、アメリカのブリーダーズカップ同日2レース制覇など、国内だけでなく世界でも超一流の成績を残している。2025年もフォーエバーヤングでサウジカップを制覇し、史上初めてサウジカップを2勝した調教師となった。今回は、そんな矢作師の下に集まる注目の2歳馬を取り上げていく。

⑤モズエムブイピー
性別:牡馬
生年月日:2023年2月8日
毛色:鹿毛
馬主:(株)キャピタル・システム
生産牧場:谷川牧場
取引市場:
兄弟(姉妹):
馬名の由来:冠名+最優秀選手
矢作厩舎にとって縁深い馬の1頭に、厩舎初のG1制覇をもたらしたグランプリボスがいる。そんな同馬の産駒が、3年ぶりに矢作厩舎へ入厩。モズエムブイピーと名付けられた牡馬は、名前の通りまさに『モズ』のMVPと言える存在だろう。
父であるグランプリボスを所有していた『グランプリ』。同社の前代表である北川雅司氏が息子にその座を譲る際、法人馬主として『キャピタル・システム』の名で新たにJRAへと馬主登録をした。この名義でも多数のG1勝ち馬を送り出しているが、その中の1頭に、2020年の高松宮記念を制したモズスーパーフレアがいる。
馬主として初のG1制覇をプレゼントしてくれたグランプリボスと、法人馬主となったのちにG1を勝利したモズスーパーフレアの間に産まれたモズエムブイピーは、北川氏にとってひとつの結晶ともいえる馬ではないだろうか。
そんなロマンあふれる血統に内包されたクロスは、Secretariatの4×5にNorthern Dancerの5×5。前者に近いクロスは、矢作厩舎で育てられ、2025年のサウジカップを制したフォーエバーヤングが5×5で保持しており、夢に満ち溢れている配合ともいえる。
調教師キャリアで初のG1制覇をプレゼントしてくれた馬の血が、時を経て再び厩舎に、しかも馬主のゆかりのある血統で舞い戻る……人の縁を感じずにはいられない1頭で、その走りに注目したいところだ。
【了】
(文●小早川涼風)
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