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ロードカナロア  〜日本に突如として現れた世界的スプリンター。GⅠは7戦6勝の“龍王”伝説〜

text by 中西友馬

ロードカナロア(Load Kanaloa)

スプリンターズS連覇、安田記念制覇での2階級制覇、香港スプリント連覇など、G1・8勝の偉業を成し遂げた奇跡のスプリンター。種牡馬としてはアーモンドアイら多数のG1馬を輩出し、今も競馬界に革命を起こし続ける。世代を超えて速さの遺伝子を継承していく龍王の伝説を振り返ろう。

LordKanaloa
Getty Images

プロフィール

性別 牡馬
キングカメハメハ
レディブラッサム
生年月日 2008年3月11日
馬主 ロードホースクラブ
調教師 安田隆行
生産牧場 ケイアイファーム
通算成績 19戦13勝【13-5-1-0】
獲得賞金 6億6995万円
主な勝ち鞍 スプリンターズS(2012、2013年)
香港スプリント(2012、2013年)
安田記念(2013年)
受賞歴 JRA賞年度代表馬(2013年)
最優秀短距離馬(2012、2013年)
産駒成績 産駒デビュー年:2017年
通算重賞勝利数:67勝
通算G1勝利数:15勝
代表産駒(主な勝ち鞍) アーモンドアイ(2018年牝馬3冠)
サートゥルナーリア(2019年皐月賞)
パンサラッサ(2023年サウジカップ)

世界の龍王

 ロードカナロアは、2010年12月に小倉競馬場でデビューした。父はキングカメハメハ、母は芝・ダート問わず短距離戦で5勝を挙げたレディブラッサムという血統であった。そのデビュー戦はスピードの違いでハナに立つと、後続に6馬身差をつける圧勝だった。

 年が明けて3歳となった2戦目は1600mのジュニアカップだったが、デビュー戦から400mの距離延長で、末の粘りを欠いて2着に敗れた。3戦目となる1400mの平場500万下でも、またも勝ち切れずに2着となった。

 やはりロードカナロアのスピードを生かすにはスプリント戦が最適と考えた陣営は、ドラセナ賞、葵Sと1200m戦に出走させて連勝を果たす。夏を経て古馬と初対戦となった京洛S、重賞初挑戦となった京阪杯も勝利した。

 年が明けて4歳となったロードカナロアは、高松宮記念の前哨戦であるシルクロードSも勝利して、破竹の5連勝。勢いそのままにG1初挑戦となる高松宮記念に挑戦する。ここに立ち塞がったのが、前年のスプリンターズSを制していた厩舎の先輩、カレンチャンであった。ロードカナロアはサンカルロにも交わされて、キャリア唯一の3着に敗れた。

 その後、函館スプリントSでも勝ち切れずに2着となったロードカナロアは、続くセントウルSで岩田康誠騎手と初コンビを組む。このレースでも2着となったロードカナロアは、スプリンターズSでカレンチャンと再び相見えた。直線でカレンチャンが抜け出したところを差し切ったロードカナロアは見事にリベンジを果たし、コースレコードでG1初制覇を飾った。

 G1ウィナーとなったロードカナロアは、カレンチャンとともに初の海外遠征となる香港スプリントに挑戦した。香港はスプリント王国で、数々の日本馬の挑戦が跳ね返されていたが、3番手追走から抜け出して快勝。日本馬初の香港スプリント制覇に沸いた。

 年が明けて5歳となったロードカナロアは、2年以上ぶりとなる1400mの阪急杯に出走した。他馬より重い58キロを背負いながら勝利。続く高松宮記念もコースレコードで快勝したカナロア陣営は、1600mで行われる安田記念への挑戦を発表する。2年5ヶ月ぶりのマイル戦となったレースは、ショウナンマイティの追い上げをクビ差しのいで勝利。着差がわずかだった点に加え、直線で苦しくなって外側に斜行した点からも、かなりタフなレースであったことが分かる。しかしロードカナロアはそれを勝ち切り、2階級制覇を果たした。

 秋の始動戦となったセントウルSでは、2キロ斤量の軽いハクサンムーンに逃げ切りを許したが、同斤となったスプリンターズSでは、きっちり捉えて連覇を達成した。

 そして引退レースとなった香港スプリント。好位を追走したロードカナロアは楽な手ごたえで前に並びかけると、後続をちぎって5馬身差の完勝。世界のロードカナロアの名に相応しい衝撃的なレースを見せて、ターフに別れを告げた。

 翌年から種牡馬入りを果たしたロードカナロアは、初年度から牝馬3冠を達成するアーモンドアイを輩出するなど大活躍。自身はスプリント戦を中心に活躍したが、アーモンドアイを筆頭に、クラシックディスタンスでの活躍馬も多数輩出している。また、産駒のダノンスマッシュは、2020年に日本馬としてロードカナロア以来となる香港スプリントを勝利し、父子制覇を達成。豊かなスピードは産駒に確実に受け継がれている。

(文●中西友馬)

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