皐月賞でGⅠ初勝利を飾った名ジョッキー(4)運命の出会い「かけがえのない存在に…」苦節9年目で悲願達成
クラシック三冠の幕開けを告げる皐月賞。前年にはホープフルSや朝日杯FSといったG1も行われるが、多くの競走馬にとって、初めてのG1タイトルを手にする舞台となる。また、多くの名騎手が、ここで初G1タイトルを掴んできた。今回は、皐月賞がキャリア初のG1制覇となったコンビを5組ピックアップして紹介する。4組目は2017年の皐月賞。

④アルアイン×松山弘平
———
2017年 第77回皐月賞
優勝馬:アルアイン(9番人気)
騎手:松山弘平(27歳)
調教師:池江泰寿【栗東】
馬主:サンデーレーシング
———
2009年にデビューした松山弘平騎手は、同期最多となる36勝を挙げ、新人王の座を獲得。初騎乗・初勝利という偉業も成し遂げ、それ以降も順調に勝ち星を積み重ねていくが、中央G1にはあと少し手が届かないということが続いていた。そんな2017年に出会ったのが、アルアインである。
前哨戦の毎日杯でアルアインと初コンビとなった松山騎手は、単勝オッズ1.2倍のサトノアーサーを下して重賞初制覇を挙げる。これにより皐月賞でもコンビ継続となったが、本番での評価は9番人気。重賞勝ち馬としては低めの評価だった。
ゲートが開くと、アルアインは4~5番手の好位でレースを進める。道中はリズムよく進められていたが、勝負所でやや脚を取られて手応えが悪くなった。しかし、慌てることなく持ち直すと、直線では間を割って伸びてきた。最後は追いすがるペルシアンナイトをクビ差抑えて優勝。デビュー9年目にして初のG1制覇の瞬間を迎えた。
この皐月賞では、これまでのG1で惜しくも2着に終わった経験などが生きたという。そして、次走のダービーで5着に敗れた後、アルアインは彼の手元を離れた。
松山騎手に嬉しいG1初制覇を経験させた馬であると同時に、厳しさも経験させた馬。松山騎手はアルアインについてこう語っている。
「僕を大いに成長させてくれたかけがえのない存在です」
【了】
(文●小早川涼風)
【関連記事】
・【皐月賞でGⅠ初勝利を飾った名ジョッキー5選】(1)
・【皐月賞でGⅠ初勝利を飾った名ジョッキー5選】(5)
・【皐月賞でGⅠ初勝利を飾った名ジョッキー5選】(全紹介)