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美しき白毛馬の軌跡(4)体質が弱いというのは昔の話…数々のジンクスを打ち破った現役の名馬

text by 中西友馬

1979年に、ハクタイユーが日本で初めて白毛のサラブレッドとして認められてからもうすぐ50年。突然変異と遺伝を合わせて、これまで50頭以上の白毛馬が誕生している。今回はそんな白毛馬の歴史の中から、記録にも記憶にも残る5頭をピックアップ。1頭ずつ順に紹介していく。

Hayayakko
レパードSを制し、白毛馬としてJRA重賞初勝利を飾ったハヤヤッコ

④ハヤヤッコ

ここまで取り上げた3頭は、ユキチャンこそミモザ賞を勝利しているものの、基本的にはダートを主戦場にしている馬たち。シラユキヒメの子どもたちはダート適性の高い馬が多かった。しかし、ついに白毛馬は芝の舞台でも活躍を見せ始める。その先駆けとなったのが、ハヤヤッコであった。

ハヤヤッコは、父キングカメハメハ、母マシュマロという血統で、2016年生まれ。母のマシュマロはシラユキヒメの第6仔で、現役時代は12戦2勝の戦績を残した白毛馬。シラユキヒメの仔であった前出3頭と違い、ハヤヤッコはシラユキヒメの孫ということになる。

そんなハヤヤッコは、芝でデビューすると、2戦目に芝で勝ち上がりを果たす。しかし、その後はダートを中心に出走し、2勝目はダートで挙げる。

そして出走したのが、レパードS。その前の青竜Sで8着に敗れていたこともあり、10番人気と伏兵評価であったが、後方から鮮やかな追い込みを決めて勝利。白毛馬として、史上初のJRA重賞制覇を果たした。

その後もずっとダートのレースを使われていたが、6歳春の日経賞で3年5ヶ月ぶりに芝のレースに出走。13番人気の低評価を覆し、タイトルホルダーの5着に健闘する。ここからは芝の中長距離に主戦場を移し、6歳夏の函館記念で2つ目の重賞タイトルを獲得。芝・ダートの両重賞制覇を達成した。

その後は重いハンデを背負うことも増えて苦戦が続いたが、8歳時のアルゼンチン共和国杯では、58.5キロのトップハンデを背負いながら最後方から全馬をごぼう抜き。8歳にして、重賞3勝目を飾った。9歳となった今年も、現役生活を続行。3歳時に喉の炎症で5ヶ月ほど休養をとった以外は、大きな怪我もなく9歳まで現役を続けているハヤヤッコ。

白毛馬は体質が弱いというのは昔の話で、ハヤヤッコにはキャリア50戦(8歳時まででキャリア43戦)を目指して、走り続けてもらいたい。

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