美しき名馬…日本競馬史に名を残す、白きサラブレッドの軌跡(5)次々と常識を覆したスーパーアイドルホース
1979年に、ハクタイユーが日本で初めて白毛のサラブレッドとして認められてからもうすぐ50年。突然変異と遺伝を合わせて、これまで50頭以上の白毛馬が誕生している。今回はそんな白毛馬の歴史の中から、記録にも記憶にも残る5頭をピックアップ。1頭ずつ順に紹介していく。

⑤ソダシ
白毛馬としてJRA重賞初制覇を飾ったのは、レパードSのハヤヤッコだが、実は白毛馬として芝の重賞初制覇は、ハヤヤッコの函館記念ではない。その記録を打ち立てたのは、ハヤヤッコの2つ下となる、2018年生まれのソダシであった。ソダシは、父クロフネ、母は3頭目に取り上げたブチコという血統。
芝1800mの新馬戦で初陣を迎えると、いきなりデビュー勝ち。続く札幌2歳Sもコースレコードで連勝して、あっさりと白毛馬として初の芝重賞制覇を達成。しかしソダシの勢いはとどまるところを知らず、続くアルテミスSも制して重賞連勝。そしてG1初挑戦となった阪神JFでも、ゴール前の大接戦をハナ差制して勝利。デビューから4戦4勝でG1タイトルを獲得し、白毛馬として史上初のG1制覇を達成した。
さらには、阪神JFからのぶっつけで挑んだ桜花賞も制して、白毛馬として初の牝馬クラシック勝利も達成。既にこの頃には、白毛馬としてではなく1頭の競走馬として、歴代の名牝たちと比較されるような存在となっていた。
オークスで8着に敗れてデビューからの連勝は5でストップしたが、札幌記念では海外G1制覇を果たしたラヴズオンリーユーを撃破。
古馬となってからも、ダートG1のフェブラリーSで3着に好走。さらには4歳時のヴィクトリアマイルでG1・3勝目を飾るなど、白毛馬の枠を超えて、この時代の牝馬マイル〜中距離路線を引っ張る存在であった。そして5歳時の安田記念を最後に、現役引退を発表。
現役引退後は、繁殖牝馬として第2の馬生をスタート。初年度はイクイノックスとの種付けが行われた。そして今年の1月に、両親合わせてG1・9勝となる初仔の牝馬を出産している。ちなみに、気になる毛色は黒鹿毛とのことで、今後は母と同じ白毛の産駒が誕生するのかにも注目が集まっている。
【了】
(文●中西友馬)
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