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オルフェーヴル産駒の最高傑作は? (1)アーモンドアイには勝てなかったが…牝馬の時代をけん引した名牝

text by 中西友馬

現役時代は史上7頭目となるクラシック3冠を達成し、凱旋門賞でも2年連続2着の実績を残したオルフェーヴル。その一方で、レース後に池添騎手を振り落としたり、阪神大賞典で逸走するなど、「金色の暴君」の異名がぴったりの馬でもあった。今回はそんなオルフェーヴル産駒の中から、特に活躍を見せた5頭をピックアップして紹介する。一頭目はラッキーライラック。

LuckyLilac
ラッキーライラック

ラッキーライラック

 最初に取り上げるのは、現時点で牝馬のオルフェーヴル産駒としては一番最初に名前が挙がるであろう、ラッキーライラック。ラッキーライラックは、2015年生まれのオルフェーヴル第1世代。産駒の重賞初制覇こそロックディスタウンに譲ったが、2戦2勝で迎えた阪神JFを制して父にG1初制覇をプレゼント。

 3歳時の牝馬3冠では宿敵アーモンドアイが立ちはだかったため無冠に終わるも、4歳時のエリザベス女王杯で1年8ヶ月ぶりの復活勝利。テン乗りのスミヨン騎手による叱咤に応えてラチ沿いを突き抜け、上がり32秒8の豪脚でG1・2勝目を挙げる。

 翌年の大阪杯でさらにG1タイトルを積み上げたラッキーライラックは、京都競馬場の改修工事によって阪神競馬場で行われたエリザベス女王杯を連覇。G1・4勝を挙げて、5歳時の有馬記念を最後にターフに別れを告げた。オルフェーヴル自身、凱旋門賞で2年連続2着となっているように、速い上がりはあまり歓迎しないタイプ。実際、G1・6勝のうち33秒台の上がりを使ったのは3歳時の有馬記念だけであった。それは産駒にも受け継がれており、父が現役時代一度も走ったことのない、ダートで活躍する産駒も多数存在する。

 そんな中、ラッキーライラックはG1・4勝全てで33秒台の上がりをマークし、4歳時のエリザベス女王杯に至っては32秒8というキレッキレの走り。良い意味でオルフェーヴル産駒らしくない部分もありながら、父特有のパワーも受け継ぐ名牝であった。

 現役引退後は、繁殖牝馬として第二の馬生をスタート。初仔は順調ならば昨年デビューであったが、現時点ではまだ未出走である。2024年には、2番目の仔として父エピファネイアの牡馬が誕生しており、こちらが産駒デビューとなる可能性が高そう。

 母父オルフェーヴルの産駒は、現時点ですでに100頭強がデビュー。まだそこまで多くはないが、その中からドゥラエレーデがG1ホープフルSを制するなど、活躍が目立っている。産駒がデビューしたら、ラッキーライラックの仔とアーモンドアイの仔が同じレースに使うかもしれない。そんな可能性を考えると、より一層ラッキーライラックの仔がデビューするのが待ち遠しくなる。

【了】

(文●中西友馬

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