キングカメハメハ産駒の最高傑作は? 日本競馬史に轟く”大王”の名を受け継ぐ名馬5選
現役時代、NHKマイルCとダービーのいわゆる「変則2冠」を達成。さらなる活躍が期待される中、屈腱炎によって早期引退を余儀なくされたキングカメハメハ。種牡馬としては、日本調教馬として史上最高額の21億円のシンジケートが組まれ、初年度産駒となる母トゥザヴィクトリーの牝馬は、セレクトセールで当歳世界最高額となる6億円で落札。サンデーサイレンス産駒が多数存在していた時代の日本において、サンデーの血を持たないキングカメハメハは非常に重宝され、2010年には年間種付け頭数266頭という日本記録も達成した。今回は、そんなキングカメハメハ産駒の中から、特に活躍を見せた5頭をピックアップして紹介する。
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①アパパネ
最初に取り上げるのは、キングカメハメハ産駒2世代目を代表する牝馬、アパパネ。母ソルティビッドは短距離でOPクラスに在籍した快速馬で、キングカメハメハと同じ金子真人オーナー所有であった。
アパパネも当然金子真人HD所有となり、2009年7月に福島で蛯名騎手を背にデビュー。その新馬戦は3着に敗れるも、仕切り直した10月東京の未勝利戦では+24キロと見違える馬体でターフに姿を現し、2馬身差の快勝で初勝利を挙げる。続く赤松賞も連勝し、迎えた阪神JF。ここでも中団から鮮やかな差し切り勝ちを決め、3連勝でG1初制覇。父キングカメハメハにも、産駒G1初制覇をプレゼントした。ちなみに、翌週の朝日杯FSもキングカメハメハ産駒のローズキングダムが勝利。産駒が同一年の2歳G1を2つ制するのは、史上初の偉業であった。
3歳始動戦となったチューリップ賞ではショウリュウムーンの2着に敗れるも、本番の桜花賞では好位から抜け出して1冠目を奪取。牝馬3冠獲りに向けて好スタートを切ったが、ファンの間では2400mに距離が延びるオークスは、厳しい戦いになるとの声も聞かれた。その理由としては、母ソルティビッドが短距離馬であることなどが挙げられていた。しかしアパパネは、中団追走から外を追い込むと、連れて伸びてきたサンテミリオンと並んでゴール。JRAのG1史上初の1着同着で2冠目も手中に収めた。
秋初戦のローズSでは、なんと再び+24キロの馬体でレースに挑む。結果は4着に敗れたが、あれだけの強さを見せた春から、まだまだ成長の余地があることを感じさせた。そして迎えた秋華賞。中団追走から馬群の外を伸びて差し切り勝ち。スティルインラブ以来、7年ぶり3頭目の牝馬3冠を達成した。
アパパネはその後、翌年のヴィクトリアマイルも制し、G1・4勝の活躍を収めて現役生活を引退。現役引退後は繁殖牝馬となり、同じく金子真人オーナー所有の3冠馬、ディープインパクトとの間に産まれたアカイトリノムスメが、秋華賞を制覇して母仔制覇を達成。そのほかの産駒も堅実に勝ち上がっており、母としても結果を残している。